マインドフルネス瞑想の実践の土台

情報

この項目で説明していることは、マインドフルネス瞑想をよくできるようにするためや効果を得られやすくするために土台となることです。

マインドフルネス瞑想の一般的な指導では教わることのないことですが、このことをしているか、守っているかで、マインドフルネス瞑想の取組み・効果に差がついてきます。

何をするかと言えば、生活の態度を調えることです。瞑想をしたいだけなのにめんどうなことをと思う人もいるかもしれませんが、実は大事なことです。

たとえば、前の項目の「禅とマインドフルネス瞑想の関係」で、坐禅の手引のおおもとの『天台小止観』を紹介しましたが、『天台小止観』の全10章のうち4章は生活の態度を整えることを説いています。『現代語訳 天台小止観』(関口真大訳・大東出版社刊)は全138ページですが、そのうち51ページがそうです。

生活の態度を整える

掃除、整理整頓

掃除、整理整頓は、前の項目の「マインドフルネス瞑想に取組む準備」にもありましたが、生活の態度を整える行動として大事なことです。

たとえば禅の修行では、毎日毎日、同じ場所を掃除することをとても重視しますが、そうするのは意味があります。

随時、掃除、整理整頓をして、いつも周囲をきれいにすっきりしておきましょう。

飲食を整える

食べ過ぎ、空腹、刺激物を摂取してその感覚が残る、飲酒によって意識が混濁したり不鮮明になるような状態では、瞑想をしても集中しにくく、心は静まりにくくなりますので、そのような状態にならないように注意します。

睡眠を整える

睡眠不足では、瞑想中に睡魔に襲われやすくなります。寝過ぎは、努力の心を弱くし、集中すること、集中し続けることを難しくします。ですから適切に睡眠をとるようにします。

なお、何らかの理由で適切な睡眠をとれなくなっている場合は、マインドフルネス瞑想を実践していくうちに、良好な睡眠をできるようになってきます。

言動、心を整えて暮らす

普段、そ雑やせわしない言動をして暮らしていたり、心が荒れたり落ち着かなくなってしまうようなことをしていたら、瞑想中に落ち着いた呼吸や心になるのは難しくなります。

ですから、普段も心がけて、静かに落ち着いた言動をできるだけするようにします。また、心が波打つことにならない過ごし方、生き方を心がけてします。

そして、言動、心を整えて暮らす具体的なヒントとなるのが次です。

戒を守るようにする

戒(かい)というと「禁止される」という気持ちになるかもしれませんが、お釈迦様、ブッダの教えでは、瞑想にプラスになる、苦悩せずに生きられるようになるためにプラスになることでもあるから戒になっています。

仏教では修行する大項目の名称を「戒・定・慧(かいじょうえ)」、三学と言いますが、戒は道徳的に身と心を清浄に保てることになり、定と慧の修養を進めることの助けになり、全体の土台・基礎になります。

サマタ瞑想、ヴィパッサナー瞑想に関係することとして、お釈迦様、ブッダは亡くなる最後の旅で次のように説いています。

『ブッダ最後の旅』(中村元訳・岩波書店)より引用

戒律とともに修養された精神統一は、大いなる果報をもたらし、大いなる功徳がある。

精神統一とともに修養された智慧は、大いなる果報をもたらし、大いなる功徳がある。
智慧とともに修養された心は、諸々の汚れ、すなわち欲望の汚れ、生存の汚れ、見解の汚れ、無明の汚れから完全に解脱する。

諸々の汚れから解脱(げだつ)する流れが、戒律(戒)、精神統一(定)、智慧(慧)の順番になっています。

精神統一は集中瞑想のサマタ瞑想、智慧は気づきの瞑想・智慧の瞑想と言われるヴィパッサナー瞑想を実践して会得します。戒律がサマタ瞑想、ヴィパッサナー瞑想の土台として説かれています。

では、戒律とはどんなものでしょう。出家者が守るべき戒には、五戒、八戒、二百以上ある具足戒(ぐそくかい)がありますが、一般の人は次の「十善戒(じゅうぜんかい)」が参考になると思いますので紹介します。

十善戒(じゅうぜんかい)を守る

次の十項目をできるだけ守ろうと暮らすとよいと思います。

 身業(行動について)
  • 不殺生(ふせっしょう)故意に生き物を殺さない。
  • 不偸盗(ふちゅうとう)与えられていないものを自分のものとしない。
  • 不邪淫(ふじゃいん)不道徳、よこしまな性的関係は持たない。
     口業(発言について)
    • 不妄語(ふもうご)嘘はつかない。
    • 不綺語(ふきご)中身の無いことを話さない。
    • 不悪口(ふあっく)乱暴な言葉は使わない。
    • 不両舌(ふりょうぜつ)人を仲たがいさせるようなことは言わない。
       意業(思考について)
      • 不慳貪(ふけんどん)過剰な欲はいだかない。
      • 不瞋恚(ふしんに)憎しみ、怒り、排他的な思いは持たない。
      • 不邪見(ふじゃけん)因果を無視した誤った考えは持たない。

        小欲・知足で生きる

        心が波打つことになる大きな原因の一つは、貪り(むさぼり)、欲です。過剰な欲、よこしまな欲、執着の欲は、身を滅ぼします。

        欲が多すぎれば、心は落ち着きません。迷いや不満、イラダチなども生まれやすくなります。欲が少なく、今、現在、足りていると生きれば、心は穏やかで幸多く生きることができます。

        小欲

        次の5つの分野(五根)で小欲=欲を少なくするように努めます。五根(ごこん)とは眼(げん)根、耳(に)根、鼻(び)根、舌(ぜつ)根、身(しん)根の五つの感覚器官の働きのことで、各感覚器官の欲を少なくするよう努めます。

        • 眼で見ることの欲を少なくする
        • 耳で聞くことの欲を少なくする
        • 鼻で香りをかぐことの欲を少なくする
        • 舌で味を感じることの欲を少なくする
        • 体に快楽を求めることの欲を少なくする

          今、普段の暮らしで具体的に少なくできそうなことを考えてみてください。そして、していきましょう。また、いつも心がけていきましょう。

          知足

          少欲はまだ得られていないものを欲しないことですが、「知足(ちそく)」=足るを知るは、すでに得られていることに満足をすることです。不足を思うのではなくて、今あるもの、今の状態に良さ、幸せを見い出して有難いと感じる心です。

          曹洞宗の開祖の道元禅師は「知足」をすべてはすでにすべて足りているということを知ることと説いています。また、中国の唐の時代の代表的な仏教の僧の玄奘(げんじょう)は知足を「喜足」、足るを喜ぶと訳して「少欲・喜足」としました。

          刺激を少なく暮らす

          心を安定させることは、刺激が多いほど難しくなり、刺激が少ないほうが簡単になります。私たちは、上記の小欲でも出てきた五根の「眼、耳、鼻、舌、身」と意(思い)の6つから刺激を受けて生きています。ですから、この6つからの刺激を少なくすると、心は安定しやすくなります。

          私たちは刺激は癖になるので断ち難く、たとえばテレビを見すぎてしまったり、スマートホンをし続けてしまったり、ネットをしずきたり、刺激の強い食べ物を好んで食べたりなど、そうして刺激いっぱいの中にいるようになります。意識して刺激の少ない暮らしにしていきましょう。

          また、自分の身口意(しんくい)の業=「行動、発言、思考」で自分自身が受け取ることになる刺激を生み出して受けます。ですから行動、発言、思考に気をつけましょう。よけいに葛藤を生み出すような言動や思考はしないように心がけていきましょう。

          今はできなくても…

          心がけて、それがすぐできるかと言えばそうではないのが私たち人間です。でも、心がけもせず、しようとすることもせずにいたら変化はありません。ですから、なかなかできないにしても、心がけて、できるときはしていくことが大事です。

          そして、これらは心がけてするようにしながら、マインドフルネス瞑想に取組んでいくと、しだいに自然に守れるようになったり、できるようになってくることでもあります。身についてくることでもあります。

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