慈悲の瞑想のすごい効果を本当に得るための方法
慈悲の瞑想は素晴らしい効果、すごい効果があります。このページはそれがどういうものかと、その効果を得られるようになるために必要なことをお話します。
ほかのものでもそうですが、流行するようになると、人々が飛びつくように効果が言われるようになる傾向があります。簡単にその効果が手に入るというように。慈悲の瞑想も例外ではありません。
そして、そういう情報にひかれて取組んでみたけれど効果が得られないと悩む人が出てきます。私のところにもそういう悩みのご相談があります。
きちんとした取組みをして本当に効果を体験している人は、棚からボタモチように効果を得られると言わないものですが、昨今、そうでない人による情報発信が多いように感じます。
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安易に効果が言われている傾向がある
次のような効果があるとネットなどでは紹介されています。
- アンチエイジング
- うつ症状が改善される
- 感情コントロールが上手くなる
- 共感力が高くなり人間関係が円滑になる
など
科学的に数週間程度で実証されたとしている情報も、脳がそうなるからとも。
しかし、記事をいろいろ冷静に読むと、アンチエイジングは実験者数が少ないとか、共感力は脳の部位が活性化したということだったり、再現性、どれだけの人に実際にこういう効果があるかというと疑問なものです。
数週間で実際にそういう効果を実生活でそうだというほどに得られる人がいるかというとほとんどいないでしょう。よく探すとネガティブな研究結果もあります。
慈悲の瞑想には素晴らしい効果はあります。すごい効果はあります。しかし、それをこのように短絡的に得られると宣伝すると、逆に本当には得られない人が増えてしまうでしょう。
これはマインドフルネス瞑想でも同じです。
慈悲の瞑想の本来的な効果
上記のような考えのもと冷静に効果はというと、また、慈悲の瞑想はもう2500年の歴史がある仏教の瞑想ですが、本来の効果としては次になります。
瞑想の種類としての効果
慈悲の瞑想は、瞑想の種類では、瞑想中に心が静まり集中が増す集中瞑想です。ですから、慈悲の瞑想をするとそういう効果があります。
慈悲の瞑想は、仏教では、古来、普段、心が乱れがちになったらするようにと特に指導されたり、根本のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想とともにヴィパッサナー瞑想の前に心を静め集中をするためにしたりします。
慈悲の文章を唱えることによる効果
慈悲の文を唱えることを繰り返します。そうすることで自己暗示的な効果もあります。
しかし、慈悲の瞑想で自己暗示で、慈悲の心、言動が、普段、当たり前に発現できるようになるわけではありません。それは後でお話しします。
古来、言われている慈悲の瞑想の効果
慈悲の瞑想はお釈迦様が生きておられたときから取組まれているもので、お釈迦様は十大弟子で息子のラーフラに、次のように効果を言ったと大ラーフラ教誡経に書かれています。
- どんな憎しみも消えてしまう。
- どんな残虐性も消えてしまう。
- どんな不満も消えてしまう。
- どんな怒りも消えてしまう。
また、パーリ仏典 増支部経典 十一集 第二臆念品 十六『慈』に、お釈迦様は次の11の利益があると語ったとも書かれています。
- 安眠できる
- 安らかに目覚める
- いい夢を見る
- 人に愛される
- 天人や動物に愛される
- 天人に守られる
- 火・毒・武器などの外界の危険から守られる
- 心が喜びに満ち溢れ、澄み渡る
- 肌の色艶が輝き澄み渡る
- 安らかに往生する
- 幸福に生まれ変わる
慈悲の瞑想はすごい!
でも、こういう効果を得るためには次のことが重要です。
慈悲の瞑想の本来の素晴らしい効果を得る方法
3点あります。
本来の慈悲の瞑想をやり方を
慈悲の瞑想は本来のものとは違うものもそうだと言ってされていることがあります。
詳しくは別の関連記事で説明していますが、そういうものをしたら、慈悲の瞑想としての本来の効果は望めないのは当然です。
そして、そういうものをして状態が悪くなっている人もいますので注意が必要です。
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合わせて取組む必要がある1-瞑想
慈悲の瞑想+ヴィパッサナーのマインドフルネス瞑想
上記の瞑想の種類でふれましたが、慈悲の瞑想は、古来、根本のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想とともに取組むものです。
そして、上記ではヴィパッサナー瞑想のために慈悲の瞑想をということを紹介しましたが、慈悲の瞑想の効果のためにヴィパッサナー瞑想が役立ち、必要です。
近年のマインドフルネス瞑想の原点はヴィパッサナー瞑想の応用ですので、ヴィパッサナー瞑想のやり方にきちんと準拠していれば、近年のマインドフルネス瞑想でもいいです。
そうではないものもありますのでご注意ください。なお、ヴィパッサナー瞑想は本来のマインドフルネス瞑想なので、マインドフルネス瞑想もヴィパッサナー瞑想ができるのが一番いいです。
脳科学の研究から
脳科学の研究で、慈悲の瞑想をすると、慈悲に関わる脳の島という部位が「活性化」するという報告があります。
また、サラ・レイザー博士などにより、ヴィパッサナー瞑想、ヴィパッサナー瞑想のやり方に準拠したマインドフルネス瞑想に取組み続けると、次のような「脳の変化」があると実証されています。
脳の思いやりや優しさ、慈悲などつかさどる「側頭頭頂接合部が大きく」なり、闘争や迷走反応を起こす「扁桃体の灰白質が減少する」など
つまり、慈悲の瞑想とヴィパッサナー瞑想やヴィパッサナー瞑想の要素のあるマインドフルネス瞑想をともにすると
慈悲の瞑想で慈悲に関わる脳の部分が活性化し、ヴィパッサナー瞑想による脳の変化で慈悲的な脳に変わり、思いやり、慈悲の意識状態になったり活動はできるようになります。
そして、次のことも重要です。
合わせて取組む必要がある2-日常のあり方
戒定慧のコラボレーション
仏教は人が苦悩し続けることから解放されて安心・幸福に暮らせるようになるためのノウハウですが、ノウハウは戒(かい)定(じょう)慧(え)のセットになっています。
定が主に瞑想で、本来のマインドフルネス、慈悲の瞑想などが含まれています。戒は日ごろの心がけ・行ないの在り方です。慧は物ごとについての智慧です。
マインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想で逆に利己的・独断的になる人がいるという研究報告がありますが、戒はそうなることを防ぎ、正しい方向に効果が出るようにするためのものでもあります。
日ごろの心がけ、言動も大事
私たちは日常の思考や態度や言動は、脳の機能的にそうなっていても具体的にそうできるというわけではありません。そうできるようになる意識的な心がけ、振る舞いの繰り返しが必要です。
意識的に思いやり、慈悲ではない心でいること、言動は避けるようにして、意識的に思いやり、慈悲の心がけ、言動をするようにしていくことが必要です。
このことをどのようにしたらよいかは、次の関連記事を参考にしてみてください。
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日ごろのあり方を支え正すマインドフルネス
私たちは、ふだん、自覚しないでいると、思いやりや慈悲とは逆の思いや考えをしてしまいます。日常で自分の思考や感情を自覚できないでいて、不適切な言動もしています。
マインドフルネスとは、日常で自分の思考や感情にきちんと気づけ自覚できる習性・力が働いている状態です。いつもマインドフルネスでいれば、自分の思いや考え、しようとしている言動に気づけます。そうして停止したり、修正できます。
より良く生きるには、この習性・力がないと困難です。だからマインドフルネスはとても貴重なこと、大事なことです。
そして、マインドフルネスの習性・力は、本来のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想、またはそのやり方に準拠した近年のマインドフルネス瞑想に取組むことで得られますから、上記でも説明しましたが、慈悲の瞑想と合わせて取組むことが大切です。
【参考記事】
講座をしていますので、よければご覧になってみてください。
入門・基礎から、本場で修行するレベルの本来のマインドフルネス瞑想のやり方をしっかりと守った瞑想まで、ていねいに学ぶことのできるオンライン型の講座をしています。慈悲の瞑想などマインドフルネスに関する瞑想、知識を網羅しています。
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