手動瞑想をしてみたい人へ、より効果的にするやり方【動画付】
From瑞雲信人
手動瞑想とは何か、どんな効果・特徴があり、どのようなやり方かをお話しします。
私は禅僧として坐禅を修行して、それからミャンマーに行ってマインドフルネスの根本ヴィパッサナー瞑想を修行して、瞑想の講座をしています。その講座の瞑想の1つとして手動瞑想を入れています。
講座は瞑想の力がしっかりつくように様々な瞑想法が体系的に入っています。呼吸集中の瞑想の坐る瞑想、歩く瞑想、普段の活用、食べる瞑想、それから気づきの瞑想の坐る瞑想、歩く瞑想、普段の活用、食べる瞑想、ボディスキャン瞑想など様々な瞑想が入っていまいす。そして手動瞑想も入っています。
どうして手動瞑想も入れているのか? そのわけが手動瞑想の効果・特徴になります。
手動瞑想とは何?
手動瞑想の成り立ち、ルーツは?
私の講座の受講者の方が教えてくれました。インターネットにマインドフルネス瞑想をマスターできる講座の案内があって、90分で5回で5万円近くでチベットの古い瞑想のように書かれていて、その1回目が手動瞑想だと。
その話を聞いたときの私の反応はまず「高い!」でした。5回で教われることがとても少ないので。そして不思議に思いました。手動瞑想はチベットの古い瞑想なのだろうかと。
手動瞑想はタイの仏教の瞑想法の1つのはずで、それとは違うものがあるのだろうかと。調べましたが、この記事ではタイの仏教の手動瞑想についてお話しします。
タイ仏教の手動瞑想の成り立ち
手動瞑想はルアンポー・ティアン・チッタスポー師が考案したものです。
ルアンポー・ティアン師は、2014年に亡くなったタイ仏教を代表する高僧のルアンポー・カムキエン師の師僧でその法脈の祖に当たる人で、珍しい経歴の高僧です。
1919年、タイのルーイ県チエンカーン市のブホムという村に生まれ、はじめは13歳のとき、それから幾度か短期の出家をしながら、在家者として仏道の五戒を守り瞑想実践を継続し、46歳になろうとするときにいよいよ自分を変えなければならないと思います。
自分の心の中にまだ怒りの感情がある、自分の心はまだ苦(ドッガ)に束縛されている、この束縛に終止符を打つべきだと考えたと知られています。そして家を去りワット・ラングシムクダラムという寺へ行きました。
そこでルアンポー・ティアン師はただ自分の心と身体に気づいている瞑想実践をして、数日後に完全なる苦の消滅に達する大悟に到ったと言われています。
そして、ルアンポー・ティアン師は僧院を去り家に戻り、在家の瞑想指導者として、3年ほど瞑想を教え法を伝えました。在家でいるより比丘という立場のほうがより多くの人に伝えられるだろうと1960年に再出家をし1988年に亡くなるまで瞑想と法を伝えました。
私がこのルアンポー・ティアン師の経歴から感じるのは、ルアンポー・ティアン師はずっと世俗世間で生きる人のことを一般の僧よりも大切に思いつづけていたということです。
気づきの開発の手動瞑想
ルアンポー・ティアン師が教えた瞑想法はチャルーン・サティ(気づきの開発)と呼ばれています。
チャルーン・サティには、ヨックムー・サーンチャンワという座って行う瞑想と、ドゥーンチョンクロムという歩いて行う瞑想があり、座って行う瞑想が手動瞑想になります。
手動瞑想の効果・特徴は
チャルーン・サティ(気づきの開発)の名前の通り気づきの開発ができる効果があります。
気づき(サティ)は仏教では大切なことです。正念(しょうねん)というものがあります。正念は仏教の実践の核の8つの徳目からなる八正道(はっしょうどう)の1つで「正しい気づきをしている」ことです。お釈迦様は亡くなる最後にも弟子たちに正念であるようにと説きました。
自分の心と身体に常に気づいている…、正しい気づきをしているようになるための瞑想を続けることで正しい気づきをしているようになり智慧の悟りも現れるようになります。
マインドフルネスとはこんな関係が
マインドフルネスが知られるようになりましたが、マインドフルネスは仏教の正念(しょうねん)のことが英語にされたものです。それも1800年代に英訳されました。マインドフルネスは最近のものと説明されていることがありますがそうではないです。
マインドフルネスは古来から仏教の中にあることで、正念がマインドフルネスと英訳されて、ミャンマーなどの上座部仏教の長老も、正念のことをマインドフルネス、正念の瞑想法のヴィパッサナー瞑想をマインドフルネスの瞑想と言います。
マインドフルネスは近年、様々な目的の効用のために利用されて様々なようになってきていますが、本来は正念「正しい気づきをしている」ようになることです。
本来のマインドフルネスについて詳しく知りたい人は、私の瞑想の講座のステップ1を無料で学べるようにしていますので役立ててください→ 詳細へ
手動瞑想の特徴・メリット
取組みやすく効果的であることが最大の特徴・メリットです。日常生活の中で時間が少しできたら、ソファなどでも少し姿勢を良くしてすぐすることができます。
瞑想というと、時間を特別につくらないとだめ、集中しないといけない、じっとしてないといけないから大変と思う人がいますが、瞑想はそういうものばかりではありません。
例えば、私のしている瞑想の講座は、仕事や家事や育児などの生活をしながらミャンマーなどの本場で修行するレベルの瞑想法まで学べてできるようにしたものです。なので日常生活の中でできる瞑想を特に大切にしています。
瞑想は普段の暮らしの中でできる瞑想を普段の生活のために活かしながら取組むことで、取組みを継続できますし力がつきます。手動瞑想もその一つとして活用できます。なので私の瞑想の講座にも入れてあります。
手動瞑想のやり方・方法
気づきの力をよりいっそう開発可能なポイントも含めてやり方・方法を紹介します。
手動瞑想の開始と基本
まず
- 姿勢をよくして座ります。椅子やソファに座ってでもかまいません。坐る瞑想の坐り方をできるときはそれでいいです。
- 指はのばして間は軽く閉じて、左右の手をそれぞれ左右のももの上にふせて置きます。
目は普通に開けたままで良いと説明されていることが多いですが、私たちのように世俗的な暮らしを普段してきた場合には目をあけてすると気が散ります。ですから効果的にするためには目は軽く閉じたほうが良いです。開けてするとしたら何度か取組んで慣れたらにしたほうが良いです。
次に手を動かし始める前に集中の瞑想を少しするとより効果的になります。私の講座を受講している人の場合は手動瞑想を学んで取組むまでに集中の瞑想を習得できていますから、ここで1分ほど集中の瞑想をして集中と心の静まりを高めるとより効果的になります。
そして、手を動かしていきますが動かし方のポイントは
- 前をむいたまま、心の中で手に意識を向け、手と腕とその動きに気づきを切らさないようにして動かしていきます。
普通の動きでよい、リズミカルにと説明されている場合もありますが、気づきの力の開発にはゆっくりめにして動きの一つずつをしっかりと気づくようにしてすると効果的です。
上記のルアンポー・ティアン師の動画や下記のカンポン・トーンブンヌムさんの動画で出てくるシーンでの手動瞑想はゆっくりとした動きになっています。
カンポン・トーンブンヌムさんは、24歳の時の水難事故で全身麻痺の障害を負って16年間の失意のどん底を味わい、気づきの瞑想に出会って苦しまずに生ききった人です。
カンポンさんの次の著書があります。私はミャンマーに行き修行する前に読んでいて、修行中に「あぁ、そうか」と思い出すような経験をして感動したことがありました。
手の動作の重要ポイントと手順
手動瞑想の手の動かし方最初は覚えるのにとまどうかもしれません。でも繰り返すうちにすぐに覚えられます。まず文章で説明して、その後に動画での説明を添付しておきます。
大切なことは正しく手を動かすということよりも動作の一つ一つに気づくことにあります。気づきがなければただの手の体操になってしまいます。
一つひとつの動きをしっかりと区切って、動かしている手と腕とその動きを自覚的にしっかり細かく気づくようにしながら動かしていきます。
一つの動作をしたら一瞬そこで止め、しっかりと心の中で止まっている状態に気づき確認してから、次の動きへ移るようにします。
- 左右の手がそれぞれ左右のももの上にふせて置かれている状態から
- 右手を、小指側を下にして、ももの上に立てます。
- 右腕をまげ、右手を垂直に右肩の前のあたりの空間まで上げます。
- 右手の手のひらを、丹田=オヘソの下の右側へもっていきます。
- 左手を、小指側を下にして、ももの上に立てます。
- 左腕をまげ、左手を垂直に左肩の前のあたりの空間まで上げます。
- 左手の手のひらを、丹田=オヘソの下の左側へもっていきます。
- 右手を、手のひらを体にそわせて胸の真ん中に移動させます。
- 右腕を90度水平に開き、右手を右肩の前まで移動させます。※上記2と同じ位置
- 右手を、上記1のようにももの上に降ろし、手のひらをももの上にふせます。
- 左手を、手のひらを体にそわせて胸の真ん中に移動させます。
- 左腕を90度水平に開き、左手を左肩の前まで移動させます。※上記5と同じ位置
- 左手を、上記4のようにももの上に降ろし、手のひらをももの上にふせます。
- これが1サイクルで、このサイクルを繰り返します。
思考や感覚が現れたらとどうするか
私の瞑想の講座のようにマインドフルネスの気づきの開発に体系的に取組んでいる場合は次のようにすることをお勧めします。
思考や記憶や想像、感情、快や不快、痛みやかゆみなどが現れたときは、現れたとだけすぐ気づくようにします。それに関して反応したり考えたりなどはせず、ただ平静に現れていると気づくだけにして、手の動き、手への気づきを続けます。
私の講座の受講者の人は、サマタ瞑想の集中の瞑想をできるようになれているので、サマタ瞑想の集中の瞑想の基本をして、とらわれから離れてから手の動作に戻ってください。
痛みやかゆみなどが消えないときは、それに気づきつつ、手の動き、手への気づきを続けます。耐えがたい痛みや不調になったら無理をしすぎず、瞑想を中断します。
手動瞑想のやり方 動画
動画での説明をします。
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