慈悲の瞑想の効果のこれは本当? 効果のために必要なことは?
From 瑞雲信人
慈悲の瞑想の効果と効果を得られるようになるために必要なことについて、このページはお話ししたいと思いますが、どうしてそうしようと思ったのか。
それは、何でも流行すると人々が飛びつきそうな効果が簡単に手に入るように言われるようになる傾向がありますが、瞑想もそうで慈悲の瞑想もそうなっている傾向があるように感じるからです。
私の瞑想の講座を見つけて受講した方の中にもそのせいでひどい目にあっていた人がいます。瞑想は素晴らしいものです。そんなことになったらとても残念です。
慈悲の瞑想のこんな効果は本当?
例えば、科学的に実証もされて等ともされて次のような効果があると紹介されていることがありますが、ちょっと厳しめかもしれませんが私なりの考えをお話ししますね。
慈悲の瞑想で共感力が高くなる・人間関係が円滑になる?
まず、これはどんなやり方のものを慈悲の瞑想と思って、しているかで差ができる問題でもあります。本来とは違うやり方の共感や人間関係の目的でつくられたものが慈悲の瞑想と言われ、されるようになってます。
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そして、科学的な報告も共感力は単に脳の部位が活性化したということだったり、短期的にプラスのような反応をした人がいたというものだったりしますし、もともと他者に思いやりの気持ちがあった人は高まるが、ない人・薄い人は下がった、逆に利己的・独断的になる人がいるという報告もあります。
もし、瞑想をして、再現性があるように共感力が高くなる、人間関係が円滑になる効果を求めるとしたら慈悲の瞑想をするだけでは足りません。あとでお話ししますが瞑想には取組み方があります。
慈悲の瞑想で感情のコントロールが上手くなる?
これは半分くらい正解。慈悲の瞑想は瞑想の種類として集中の瞑想になります。集中瞑想は瞑想をしたときに効果があります。
なので、ネガティブな感情になっているときに慈悲の瞑想をするとその感情が静まったり、人と関わる前にすると落ち着いた気持ち、寛容な気持ちで接することができる可能性があります。
昨今のアメリカからのマインドフルネス瞑想の瞑想ブームの流れでは、本来とは違ってビジネスなどのための対処的なスキルもののように瞑想を位置づけてする傾向もあるわけですが、そういう傾向の中では瞑想を対処的な方法として評価する傾向があるように感じます。
もちろん瞑想は対処的な方法として活かせることもメリットです。ただ本来の慈悲の瞑想も本来のマインドフルネス瞑想も、そこまでにとどまらず人格として人として変われるレベルまでのものです。ネガティブな感情をコントロールできるまででなく、繰り返し現れる感情を癒す、例えば怒りの感情自体が現れなくなる人になることが可能です。
この違いは、瞑想のやり方と取組み方の違いによるものです。
慈悲の瞑想をすると老化しない?
アンチエイジングは加齢による体の老化をケアできて、いつまでも若々しく長生きられるということですが、そういう効果があるなら確かに魅力的です。
でも、慈悲の瞑想がアンチエイジングに効果があるというデータは実験者数が少ないデータで、再現性、どれだけの人に実際に効果があるか疑問な情報だったりするものです。
また、もしそういう効果があるとしても、慈悲の瞑想だけでは実質的な効果はのぞめません。繰り返しますが瞑想は一部の瞑想のことだけでなく取組み方が大事です。
近年の自己啓発、自己改善の取組みは部分的な対処法をすることで効果を得よう、変わろうとしますが、瞑想というのは部分ではなく人としての全体、ホリスティックな取組みの一環のものです。
さらに申し上げると昔から禅僧や瞑想修行者は長生きの人が多い傾向があります。つまり慈悲の瞑想に限らず、良い瞑想、良い取組みをしているとアンチエイジングの効果があるとも言えます。
慈悲の瞑想で鬱症状が改善されるか?
私の瞑想の講座を見つけて受講された方に、鬱病が治るという情報を見て慈悲の瞑想をしたけれど、よけいに苦しく辛いと悩んでいて受講なさった方がいました。その方の話を聞いていて私は鬱病経験者なのでどんなに苦しかったろうと涙が出そうでした。
私は20年ほど前に鬱病を経験して克服してカウンセラーになり、僧侶として坐禅を修行したのち、ミャンマーに行き瞑想の修行もして瞑想指導者になりました。
だからこそですが、私は安易に「慈悲の瞑想で鬱症状が改善される」と広まるような表現をすることはしません。というか、どなたも安易にはしてほしくないと思います。
アメリカの心理学者の調査では、マインドフルネス瞑想に取組んでいる人の8%がかえって不適切な心理状態、パニック障害や鬱病などにもなっていたという報告もあります。
瞑想はきちんと指導できる人のもとで正しいやり方、取組み方で習得するものです。できるようになってからも、いつでも相談できる人がいてしたほうが良いものです。
本来のマインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想の本場のミャンマーなどでは、週に2回や3回、定期的に長老が面談してくださいますし、世話係の僧侶もいて習得します。瞑想とはそういうものということも合わせて表現してほしいと思います。
慈悲の瞑想の本来的な効果
さて、慈悲の瞑想は2500年以上の前からされてきた仏教の瞑想で、効果があるものだから変わらず続けられてきているものです。
<参考記事>
慈悲の瞑想は、脳科学で〇〇の効果が実証された等という情報に左右される必要もなく、実質的な効果が認められて良いもの、良いことだとされてきたものです。
科学的な実証が好きな人も少なくなくて、その気持ちもわかりますが(実は私も嫌いではないので)、科学のことは科学者に任せて実践者はあまり気にしないで良いのではないかと私は思います。
慈悲の瞑想は集中、心の静まりが高まる
慈悲の瞑想は瞑想の種類としては、瞑想中に心が静まり集中が増す集中瞑想のサマタ瞑想という瞑想法の1つです。サマタ瞑想には40のやり方があります。
ですから、慈悲の瞑想をするとそのときに心が静まります。また集中が高まる効果があります。
そのため、仏教では古来、普段、心が乱れがちになったら特にするよう指導されたり、他の瞑想とともに心を静め集中をするために他の瞑想の前にしたりします。
慈悲の自己暗示的な効果
慈悲の瞑想は慈悲の文章を唱えることを繰り返します。そうすることで慈悲的な自己暗示の効果があります。
ただし慈悲の瞑想で自己暗示だけで、慈悲・思いやりの心、言動が、普段、当たり前に発現できるようになるわけではありません。これも取組み方で後でお話しします。
お釈迦様も説いていた慈悲の瞑想の効果
慈悲の瞑想はお釈迦様が生きていたときから取組まれているものです。お釈迦様は十大弟子で息子のラーフラに次のように効果を言ったと大ラーフラ教誡経に書かれています。
- どんな憎しみも消えてしまう
- どんな残虐性も消えてしまう
- どんな不満も消えてしまう
- どんな怒りも消えてしまう。
また、パーリ仏典 増支部経典 十一集 第二臆念品 十六『慈』に、お釈迦様は次の11の利益があると語ったとも書かれています。
- 安眠できる
- 安らかに目覚める
- いい夢を見る
- 人に愛される
- 天人や動物に愛される
- 天人に守られる
- 火・毒・武器などの外界の危険から守られる
- 心が喜びに満ち溢れ、澄み渡る
- 肌の色艶が輝き澄み渡る
- 安らかに往生する
- 幸福に生まれ変わる
慈悲の瞑想はすごい効果!
でも、慈悲の瞑想をするだけでこういう効果が得られるのではないです。仏教は単体の瞑想法だけでどうこういうものではありません。お釈迦様がこのようにおっしゃったのも、当然の全体的な取組みがあってのことです。
慈悲の瞑想のすごい効果のため必要なこと・取組み
こういう効果を得るためには次の条件があります。重要です。
次の3点が大事です。
本来の慈悲の瞑想のやり方に取組む
当たり前のことですね。でも、最近は慈悲の瞑想は本来とは違うやり方のものもそうだと言って、指導され、されていることがあります。
詳しくは別の関連記事で説明していますが、本来のものでないものをして本来の効果は望めないのは当然です。
他の瞑想と合わせて取組む
集中の瞑想の慈悲の瞑想は、古来、マインドフルネス瞑想の根本の気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想とともに取組みます。集中の瞑想のサマタ瞑想と気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想は、古来、鳥の両翼のようにセットです。なので、ヴィパッサナー瞑想も取組むようにします。
また脳科学の研究でも、慈悲に関わる脳の部位や機能を、慈悲の瞑想は取組んだときに活性化させる、気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想は大きくする・変えると報告があります。
慈悲の瞑想に、サマタ瞑想、ヴィパッサナー瞑想も学んできちんと取組めるようになりたい場合には、私の瞑想の講座を検討してみてください。ちなみに8ステップのうちステップ1は無料中です→ 紹介ページ
日常のあり方もセットの取組み方をする
そして、瞑想をするだけでなくて、正しい方向の効果になる取組みを全体としてする必要があります。これをしないので、多くの人が慈悲の瞑想でもマインドフルネス瞑想でも善い方向でない効果になってしまっています。
仏教は人が苦悩し続けることから解放され安心・幸福に暮らせるようになるノウハウです。上記に「八正道」の画像を掲載しましたが、八正道はその代表のノウハウです。
八正道は8つの徳目で3種類の事、戒(かい)定(じょう)慧(え)がセットになっています。定が主に瞑想で、本来のマインドフルネス、慈悲の瞑想などが含まれています。そして戒は日ごろの心がけ・行ないの在り方です。慧は物ごとについての智慧です。
まとめ
以上、説明したように、慈悲の瞑想には素晴らしい、すごい効果があります。
そして、その実質的な効果、毎日・人生に実際にプラスになる効果を得るためには、正しいやり方の慈悲の瞑想をするとともに、慈悲の瞑想以外の瞑想にも取組むこと、ふだんの日常のあり方などセットで取組むことが必要です。
正しく慈悲の瞑想をマスターしたい、こういうセットのような取組みで瞑想をしたいという場合は、私の瞑想の講座の受講を検討してみてください→ 紹介ページ
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