慈悲は四つの心【四無量心】で-慈悲の瞑想を活かす知識

「慈悲」とは何かご存知ですか。仏教では慈悲が大切と言います。慈悲の瞑想も「慈悲」の瞑想です。でも「慈悲」を理解できているでしょうか。

慈悲は四無量心、4つの心で本物になります。

慈悲についての理解、慈悲の正しい実行のため、慈悲の瞑想を適切に取組むために四無量心ということを知りましょう。

慈悲は四無量心のセットです

正しい慈悲の心づかい、言動をするために、お釈迦様は教えてくださっていました。それが「四無量心(しむりょうしん)」です。慈悲は四無量心のセットです。

四無量心は慈悲の瞑想で唱える文の元でもあります。慈悲の瞑想は四無量心を知っていると、知らないよりも意味のある取組みになります。

四無量心とは

お釈迦様の教えに最勝の心の「四無量心」、4つの心をあらゆる人に制限なく分けへだてなく持つようにとあり、4つは「慈・悲・喜・捨」(じひきしゃ)です。

それぞれの意味は次になります。

  • :あらゆる人に友愛の心、安楽を与えようという心を限りなく起こす
  • :あらゆる人の苦しみをなくしてあげたいという心を限りなく起こす
  • :あらゆる人の喜びを自分の喜びとして喜ぶ心を限りなく起こす
  • :あらゆる人に無条件で差別なく、かたよりなく、平静な心を限りなく起こす

私たちは実際はどうでしょう。この四無量心のセットとして考えるとどうでしょう。

自分が不快に思う人や反感を感じる人に対してどうでしょう。自分に対しマイナスの言動をした人や自分の立場をおびやかしそうと思う人、邪魔と思うような人にはどうでしょう。

そうではない人に対するようにいられているでしょうか。

慈悲、慈悲喜捨はすべて分け隔てなく「あらゆる人」です。捨でさらに「無条件で差別なく、偏りなく平静な心」です。

たとえば、SNSなどでもそうですが、自分の投稿に異見をコメントする人を排除したり

多くの場合、私たちは自分が自分の快・不快で反応して、反応のままの評価・判断をもとに言動していることに気がつかずにいます。そうして分け隔てをします。

そんなことあたりまえ。そうしてどこが悪いと思うかもしれませんが、「慈悲」が大切と言いながらそうしていたら、いただけません。

自分の心の動き、言動に気づく大切さ

マインドフルネスが流行するようになりましたが、マインドフルネスとはお釈迦様の教えからのことです。教えで最重要な八正道の中の「正念」がマインドフルネスです。

マインドフルネスと八正道

1800年代の後半、イギリスの言語学者が正念をマインドフルネスと英訳しました。

正念、マインドフルネスは今この瞬間この瞬間の自分の心と体に正しく気づいていることです。お釈迦様はそうなって生きられるようになりなさいと説き、そうなれるように瞑想も教えていました。本来のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想とサマタ瞑想です。

そして、私たちは、もし慈悲を大切にするなら、自分の心の動きにいつも気づくようにして、自分の今の心、判断、言動は四無量心「慈・悲・喜・捨」としてどうなのかと気づくようになることが大切です。

気づき、修正し、慈悲を実践する

そして「捨」の無条件で差別なく、かたよりなく平静な心を限りなく起こすようにしていきます。

あるゆる人に対して無条件に差別なく「慈」の友愛の心、安楽を与えようという心を限りなく起こす、「悲」の苦しみをなくしてあげたいという心を限りなく起こす、「喜」の人の喜びを喜びとする。

慈悲の瞑想は四無量心の瞑想

お釈迦様が生きておられたときからあるのが慈悲の瞑想です。慈悲の瞑想の効果を息子で十大弟子だったラーフラに次のように説明しました。

  • 慈の瞑想を深めれば、どんな憎しみも消えてしまう。
  • 悲の瞑想を深めれば、どんな残虐性も消えてしまう。
  • 喜の瞑想を深めれば、どんな不満も消えてしまう。
  • 捨の瞑想を深めれば、どんな怒りも消えてしまう。

慈悲の瞑想は瞑想としては1つのものです。でも「慈悲」は四無量心の「慈・悲・喜・捨」の4つの心でセットですから4つとして説明しました。

そして、慈悲の瞑想は心の中や声に出して文を唱えますが、その文は四無量心の4つで構成されています。

四無量心と慈悲の瞑想の文章の関係性

たとえば、スリランカの僧のスマナサーラ長老の唱えている文章は、次のように四無量心の4つの心に符合した4行のパターンになっています。

唱える4行のパータンを主語を「生きとし生けるもの」とした文は次です。

生きとし生けるものが幸せでありますように

生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように

生きとし生けるものの願いごとがかなえられますように

生きとし生けるものに悟りの光が現れますように

次にこれを分解して、上に四無量心の意味、下に文を並べて比べてみましょう。

<1行目>

  • :あらゆる人に友愛の心、安楽を与えようという心を限りなく起こす
  • 生きとし生けるものが幸せでありますように

<2行目>

  • :あらゆる人の苦しみをなくしてあげたいという心を限りなく起こす
  • 生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように

<3行目>

  • :あらゆる人の喜びを自分の喜びとして喜ぶ心を限りなく起こす
  • 生きとし生けるものの願いごとがかなえられますように

<4行目>

  • :無条件で差別なく、かたよりなく、平静な心を限りなく起こす
  • 生きとし生けるものに悟りの光が現れますように

瑞雲の講座の慈悲の瞑想の場合

スマナサーラさんの文は「喜」は願いごとがかなうように、「捨」は悟り光を得るように願うことになっていますが、この2行は四無量心により近い文を採用しています。

まとめ

慈悲の心、慈悲の言動の実践は、他者と自分自身の安楽で幸せな人生のためであります。自利利他です。

ぜひ、四無量心の知識で、四無量心での慈悲を実践していきましょう。また、慈悲の瞑想をするときは四無量心の理解の元で取組みましょう。

そして、今ここ、慈悲の心、行為でいられているかは、今この瞬間この瞬間の自分に気づけていることが必要です。それを可能にするにはほかの瞑想に取組むことも必要です。

マインドフルネスの本来の気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想、またはヴィパッサナー瞑想に準拠したマインドフルネス瞑想もあわせて取組みましよう。

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