コミュニケーションという言葉を聞くと、「話すこと」「伝えること」を思い浮かべる人も多いでしょう。もちろんそれも大切な一面ですが、実はコミュニケーションとは、もっと奥深い営みです。
本当に大切なのは、「相手と心を通わせる」こと。そしてそのためには、まず「人は違う」ということを受け入れるところから始めなければなりません。
コミュニケーションの本質とは
本来、コミュニケーションとは、違う存在どうしが橋をかけあう行為です。
- 生まれ育った環境も違う
- 経験してきたことも違う
- 大切にしているものも違う
- 感じ方・考え方も違う
そんな「違う世界」を持った二人が、それでも互いに近づこうとする努力。それが、コミュニケーションの本質です。
同じ出来事を見ても、同じ言葉を聞いても、人によって感じ方はまったく異なります。違いがあるのは、失敗ではありません。違いがあるからこそ、対話は意味を持つのです。
違いを前提にしたコミュニケーション
もし私たちが、「相手も自分と同じように感じ、考えているはずだ」と思い込んでしまうと、必ずどこかでズレが生まれます。そしてそのズレに、驚き、怒り、悲しみを感じてしまうのです。
でも、最初から、「人は違う」ということを前提にして関わると、そのズレに柔軟に対応できるようになります。
- 違って当たり前
- 違いを知ることが面白い
- 違いを超えてつながれるとき、喜びが生まれる
そんな心構えで人と関わることが、心からのコミュニケーションへの扉を開きます。

私にとって「良いコミュニケーション」とは?
まず、自分自身に問いかけてみましょう。
【自分への問いかけ】
- あなたにとって、「良いコミュニケーション」とはどんなものですか?
- どんなときに「心が通った」と感じますか?
短い言葉でまとめてみましょう。(例:「安心して本音を話せること」「意見が違っても尊重し合えること」など)

違いを実感する体験を思い出す
次に、違いに気づいた体験を思い出してみましょう。
【自分への問いかけ】
- 過去に、同じ出来事について、 あなたと相手で受け止め方や感じ方が違った経験はありますか?
- それはどんな場面でしたか?
- あなたはどう感じましたか?
- 相手はどう受け止めていたと思いますか?
できれば、具体的な場面を思い出しながら、簡単に書き出してみましょう。(例:一緒に出かけたとき、あなたは楽しかったのに、相手は疲れたと感じていた、など)

人は違う。だからこそ、コミュニケーションには工夫と優しさが必要です。
違いを恐れず、違いを否定せず、違いを越えて心をつなぐために、私たちは橋をかける。
これが、これから育てていくコミュニケーション力の、原点となります。
次のセッションでは、「人は何で判断しているのか? — 第一印象と無意識の力」について、さらに掘り下げていきましょう。