― 心を乗せて言葉を届ける
言葉には、情報とエネルギーの両方が乗っています。どんなに正しいことを言っていても、そこに「感情」がこもっていなければ、相手の心には届きません。
反対に──たった一言でも、心がこもっていれば、強く響くこともあります。
このセッションでは、あなたの言葉に「温度」と「想い」を宿す感情表現の力を育てていきます。
感情は「伝える」ことで、つながりを生む
感情は、本来エネルギーのかたまりです。それは、抑えこむものではなく、ていねいに伝えることで、人と人との関係を深める潤滑油になります。
たとえば──
- 「嬉しかった」と伝える → 相手は励まされる
- 「悲しかった」と伝える → 相手はあなたの大切さに気づく
- 「不安だった」と伝える → 相手が配慮するきっかけになる
感情を表現することは、弱さではなく、「関係を育てる力」なのです。
感情を乗せる表現とは?
あなたは、話すときにどんなふうに感情を乗せていますか?
- 声のトーンやスピード
- 表情や視線
- 間(ま)や呼吸のリズム
- 身振り・手振り
これらすべてが、非言語の感情伝達手段です。言葉の「中身」だけでなく、「出し方」にも意識を向けると、伝わり方がまったく変わってきます。
感情表現の語彙を増やす
あなたは普段、感情をどんな言葉で表現していますか?
- 「なんとなく嫌だった」
- 「まあまあよかった」
- 「すごく感動した」
悪くはありませんが、少し抽象的かもしれません。感情の語彙を豊かに表現を広げることで、自分の心も他者の心も、より細やかに理解できるようになります。
表現の広がりの例
たとえば:
- 喜び:嬉しい、感激した、心が温かくなった、希望が湧いた
- 怒り:いらだった、悔しかった、裏切られたと感じた
- 悲しみ:寂しかった、胸が痛んだ、泣きたくなった
- 恐れ:不安だった、怖かった、心配になった
- 愛情:優しくなった、大切に思った、心がつながった気がした
自分の感情にぴったり合う表現を探すことは、自己理解と表現力の両方を育てます。

感情の言葉を探してみよう
【 自分への問いかけ 】
- 最近、人と話したときに「伝わったな」と感じた体験はありますか? どんな表現が、相手の心に届いたと思いますか?
- あなたが日頃よく使っている感情表現は何ですか? そのバリエーションを増やすとしたら、どんな言葉が使えそうですか?
自分の中の語彙リストを増やしてみましょう。
「感情を伝える」ことへの怖れを超える
多くの人が、感情を出すことに対して「怖さ」や「恥ずかしさ」を感じています。
- 弱く見られるのではないか
- 重たい人だと思われないか
- 感情を出すと、嫌われてしまうかも…
しかし、適切に感情を表現することは、むしろ「信頼」を築くために不可欠なことです。
感情のない関係は、表面的で、壊れやすいものになりがちです。誠実な感情の表現は、相手への「贈り物」になることもあるのです。

このセッションでは、言葉に「心の温度」を乗せる力を磨いてきました。
表現とは、伝える内容+伝え方。
- 相手に何を伝えるか
- どんなトーンで、どんな表情で、どんな間で
- そして、どんな「想い」を込めて
あなたが言葉に「あなたらしさ」を乗せたとき、それはただの情報ではなく、心の橋になります。