私たちは日々、さまざまな場面で「伝える」ことをしています。
- ありがとう、ごめんね
- こうしてほしい、今は忙しい
- 本当はこう感じている
- ちょっと嫌だった、嬉しかった
しかし、自分の気持ちや意見を、正直に伝えるのは簡単ではありません。
心のどこかで、こんな思いがよぎるからです。
- 「変に思われたらどうしよう」
- 「相手を傷つけてしまうかも」
- 「自分の気持ちは我慢した方が平和だから…」
でも、いつも我慢してばかりでは、やがて心がすり減ってしまいます。本当に人とつながるためには、聴くだけでなく、誠実に伝えることも必要なのです。
「自己表現」とは何か?
自己表現とは──自分の思い・感情・考え・願いを、相手に対して「わかるように」伝えること。
つまり、「ただ話す」ことではありません。
- 相手が受け取れるように
- 誤解なく、明確に
- 攻撃的でも卑屈でもない方法で
「誠実なやりとり」を目指すことが自己表現の本質です。
3つの自己表現スタイル
心理学では、自己表現には主に次の3つのスタイルがあるとされます。
攻撃型
- 特徴:自分の意見や感情を一方的に押しつける
- 相手に与える印象:威圧的・怖い・支配的
受け身型
- 特徴:言いたいことを我慢して飲み込む
- 相手に与える印象:自信がない・不満が読めない
アサーティブ型
- 特徴:自分の気持ちも、相手の気持ちも大切にする
- 相手に与える印象:誠実・信頼できる・対等感がある
この講座であなたが目指すのはもちろん、アサーティブ型の自己表現です。それは「やさしくて、まっすぐ」な表現。伝えることで、関係が深まる自己表現です。
自己表現は「自分らしさ」と「相手らしさ」の架け橋
自己表現というと、「私はこうしたい」「私はこう思う」と言うことに意識が向きがちですが、それは自分だけが正しいと主張することではありません。
相手にも「思い」があり、自分にも「思い」がある。その二つをつなぐために、誠実に、素直に、丁寧に言葉を交わす。これが本当の「つながる自己表現」です。

あなたにとって「伝えること」とは?
【 自分への問いかけ 】
- これまでに「言えなかったことで後悔したこと」はありますか? どんな気持ちでしたか?
- 逆に、「伝えたらうまくいった」「わかってもらえた」と感じた経験は?
- あなたにとって、「伝えること」とは、どんな意味があるでしょう?
自由に感じたことを書き出してみてください。文章にならなくても、単語やキーワードだけでも構いません。

伝えることは、自分勝手になることではありません。「我慢すること」が、やさしさでもありません。
伝えることは、関係を築く行為です。それは、あなた自身のことを大切にすることでもあり、相手を信じて、心を差し出す勇気でもあります。