アイメッセージの活用 ― 攻撃せずに自分を語る

アサーティブに話すことは、「自分の気持ちや考えを正直に、でも相手を傷つけずに伝えること」。そのためにとても役立つのが──「アイメッセージ(Iメッセージ)」という表現方法です。

あなたが伝えたいのは、「相手が悪い」ということではなく、「自分はこう感じた」ということではありませんか?

このセッションでは、攻撃的にならず、受け入れてもらいやすい伝え方である「アイメッセージ」の使い方と効果を学びます。

アイメッセージとは?

アイメッセージとは「私は〜と感じた/思った/考えた」と「自分」を主語にして表現する方法です。

たとえば:

  • あなたメッセ―ジ:「どうして(あなたは)いつも遅れるの?」
  • アイメッセージ:「私は、時間を守ってくれると安心するの」
  • あなたメッセ―ジ:「あなたってほんとにいい加減ね」
  • アイメッセージ:「私は、ちゃんと伝わっているか不安だったよ」
  • あなたメッセ―ジ:「(あなた)ちゃんとやってよ」
  • アイメッセージ:「私は、もう少し丁寧にしてもらえると助かるな」

「あなたが悪い」と言われると、人は無意識に防御的になります。でも、「私はこう感じた」と言われると、相手はそれを“事実”として受け止めやすくなります。

つまり、アイメッセージは、関係を壊さずに本音を伝える技術なのです。

アイメッセージの基本構造

伝えるときには、次のような流れで言葉を組み立ててみましょう。

出来事 + ② 気持ち + ③ 理由や願い

たとえば

  • 昨日のLINEが返ってこなかったとき
  • 私はちょっと不安だったんだ。
  • きっと忙しかったんだろうなと思ったけど、気になってたんだ。

たとえば

  • みんなの前で急に意見を否定されたとき
  • 私、正直ショックだったんだ。
  • 言い方を少し変えてくれたら助かるな。

ポイントは「出来事+気持ち+理由や願い」の順でセット。攻撃的はでなくて、気持ちや思いを率直に伝えて、改善の糸口を示します。

あなたも「アイメッセージ」に変えてみよう

次の文章を、アイメッセージに言い換えてみましょう。

  • 「どうしてメールくれなかったの?ちゃんとしてよ」、 アイメッセージにすると?
  • 「また遅刻?ほんとに迷惑なんだけど」 アイメッセージにすると?
  • あなたが実際に、最近「言いたかったけど言えなかったこと」はありますか? それをアイメッセージに書き換えてみてください。

アイメッセージのメリット

  • 相手を責めないことで、対話がこじれにくい
  • 本音を伝えることで、自分の気持ちを大切にできる
  • 冷静さを保ちながら、相手に配慮した表現ができる
  • 自己開示が促され、相手との距離が縮まる

これは、家庭・職場・支援現場など、あらゆる人間関係で使える技術です。


「言いたいことを我慢する」か「ぶつけてしまう」か。その2択ではない、新しい道があります。それが、「アイメッセージで伝える」という選択。

言葉は選び方ひとつで、人を傷つける刃にもなれば、人とつながる橋にもなります。

あなたの本音が、相手の心にもちゃんと届くように。次回は、さらに構造的にわかりやすく伝える技術「PREP法」を学んでいきましょう。

error: Content is protected !!