「本当は嫌なのに、つい引き受けてしまう」「NOと言いたいのに、言えない…」「断ったあと、罪悪感でいっぱいになる」、こうした「断れない」気持ちは、単なる気弱さではなく、心の深い部分にある「思考のクセ」や「感情」の影響によるものです。
このセッションでは、なぜ、断ることに躊躇してしまうのか、その内側にある「自動的な反応」に気づき、やさしく整理していきましょう。
断れない人の「内なる声」
以下のような内なる言葉が、あなたの中にも響いていませんか?
- 「断ったら嫌われるかも」
- 「冷たいと思われたらどうしよう」
- 「頼ってくれたのに、断ったら申し訳ない」
- 「いい人でいたい」
- 「自分が我慢すれば丸くおさまる」
これらはすべて、無意識に刷り込まれてきた「思考パターン」です。「いい人であろうとすること」が、「自分の心」を犠牲にしてしまうこともあるのです。
断れない背景にある5つの心理
- 承認欲求:断ったら「嫌われる」「悪く思われる」ことへの不安
- 罪悪感:断ることで「相手に悪いことをした」と感じる心
- 自己犠牲癖:自分を後回しにする「がんばり癖」「気づかいグセ」
- 過去の体験:「断って怒られた」「否定された」などの記憶
- 境界線の不明確さ:相手の課題と自分の責任を分けられない状態
こうした心理は、ほとんどが「優しさ」や「真面目さ」から生まれているのです。
だからこそ、それを否定する必要はありません。ただ、「無意識のまま流されるのではなく」、意識的に「選べる自分」になることが、次の段階です。
断れないときの「心の声」をキャッチする
まず大切なのは、自分の中で何が起きているのかに気づくこと。
たとえば、こう言いそうになったとき──
- 「大丈夫です、やっておきます」
- 「いいよいいよ、私がやるよ」
- 「うん、わかった(本当はイヤなのに…)」
その瞬間、あなたの内側にはどんな気持ちがあったでしょう?
- 本音はどうだった?
- どんな感情がよぎった?
- 体はどんな反応をしていた?(モヤモヤ・重たさ・疲労感…)
「気づくこと」が、選択の自由を生みます。

「断れなかった経験」を振り返る
次の質問に答えて、自分の「反応パターン」を客観的に見つめてみましょう。
- 最近「断れなかった」ことは何でしたか? どんな相手に、どんな内容で?
- そのとき、心の中ではどんな気持ちがありましたか? (例:不安、罪悪感、申し訳なさ、怒り、あきらめ…)
- その後、どんな影響がありましたか? (例:疲れた、後悔、モヤモヤ、相手にイライラした)
このワークを通じて、「なぜ私は断れなかったのか」の理解が深まります。

断れないのは、弱さではありません。それは、あなたが「人を大切にしようとしてきた証」です。けれど、「相手を大切にすること」と「自分を犠牲にすること」は違います。
これからは、少しずつでも自分の心の声に気づき、「選んで断る」自由を取り戻していきましょう。
次のセッションは、相手を傷つけずに、誠実にNOを伝える具体的なスキル=アサーティブな断り方を学びます。