「気がつけば、いつも頼られている」
「人のことを考えてばかりで、自分のことが後回し」
「断ったら悪い気がして、結局また引き受けてしまう」
もしあなたが、そう感じることが多いなら、あなたは「求められすぎる人」になっているかもしれません。それは決して悪いことではありません。あなたの中にある「優しさ」「責任感」「気づかい」がそうさせているのです。
でも、それが限界を超えてしまうと、自己犠牲に変わり、心の境界線がすり減ってしまいます。
「優しさ」と「犠牲」の違いとは?
- 優しさ:相手の立場に立って行動する
- 犠牲:相手の要求を優先し、自分を抑える
- 優しさ:自分の限界を意識して手を差し伸べる
- 犠牲:限界を無視して無理に応じる
- 優しさ:与えることに喜びや満足がある
- 犠牲:与えたあと、疲れや不満が残る
- 優しさ:自分を大切にしながら関わる
- 犠牲:「自分を大切にする余裕がない」
あなたのやさしさが、「疲労」や「怒り」に変わっているとしたら、それは健康的な境界線の見直しサインです。
「求められすぎる人」の共通傾向
以下に当てはまることが多い人は、無意識に「自分を後回し」にしている傾向があります。
- 「頼まれると断れない」「頼られると期待に応えなきゃ」と思う
- 「自分が我慢すれば、相手は喜んでくれる」と思いがち
- 「役に立っていないと不安になる」
- 「周りからいい人、できる人でありたい」
- 「相手の反応や感情に、すぐ責任を感じる」
こうした傾向は、「いい人であろうとする優しさ」が自己否定や不安と結びついている状態です。
「私ばかり頑張ってる…」が生まれる理由
自分をすり減らしてまで人に尽くしていると、次第にこういう気持ちが湧いてきます。
- 「なんで私ばかり…」
- 「こんなに頑張ってるのに、感謝もされない」
- 「もう嫌だ、でも言えない…」
これは、「与えすぎ・応えすぎ」が限界を超えてしまったサイン。そしてそれは、たいてい「あなたが悪い」のではなく、境界線の線引きがあいまいだった結果なのです。

「期待に応えすぎた」経験をふり返る
- 最近、相手の期待に応えすぎて疲れた/後悔した出来事はありますか? そのとき、どんなことを考えて行動しましたか? 本音では、どうしたかったですか?
- その経験から、境界線の引き方についてどんな学びがありますか?
自分が「どこまでならできるのか?」の基準をあらためて感じてみましょう。
適切な「断り」や「保留」ができると、信頼は深まる
「何でも応えてくれる人」は、実は「頼りやすいけど疲れる人」でもあります。でも、「自分を守りながら丁寧に応える人」は、「安心できる人」として信頼されます。
だからこそ──
やさしく断ることは、関係性を壊すどころか、整える力になるのです。
そしてそれは、「自分を大切にしてもいい」「限界を伝えてもいい」という、自分への許可から始まります。

人を思いやる力は、あなたのすばらしい資質です。
でもそのやさしさが、自己犠牲に変わらないように──
- 自分の限界を知る
- 相手の期待と自分の気持ちを分ける
- 必要なら、断る・保留することも選べるようになる
次のセッションは、こうした意識をさらに深めて、「依存的な関係」「過干渉」との向き合い方に進んでいきます。