人間関係の中には、ときにこんなふうに感じる相手がいます。
- 「この人、私に依存しすぎている気がする…」
- 「なぜか、あの人と関わると疲れる」
- 「口を出されすぎて、息苦しい」
- 「心配してくれているのかもしれないけど、重たい…」
こうした関係は、一見「親しさ」や「助け合い」のように見えても、実は「過干渉」や「依存」によって健全な距離が保てていないサインかもしれません。
このセッションでは、相手との関係に飲み込まれず、ほどよい距離感で関わる知恵と視点を学びます。
依存的な関係、過干渉な関係とは?
依存や過干渉には、こんな特徴があります。
相手があなたに依存している
- 典型的なパターン:何でもあなたに相談し、決めてもらおうとする
- あなたの感覚:疲れる・プレッシャーを感じる
あなたに干渉してくる
- 典型的なパターン:過剰にアドバイスや口出しをしてくる
- あなたの感覚:窮屈・コントロールされている感じ
あなたが相手に依存している
- 典型的なパターン:意見や承認がないと不安になる
- あなたの感覚:自分で決められずモヤモヤする
あなたが相手に干渉している
- 典型的なパターン:相手の問題を代わりに背負っている
- あなたの感覚:手を離すのが怖い・心配しすぎる
どちらの立場でも、「境界線」が曖昧になっている状態です。
「支える」と「巻き込まれる」の違い
あなたが心やさしい人であればあるほど、相手の苦しみに手を差し伸べたくなります。でも「手を差し伸べる」ことと、「巻き込まれて沈む」ことは違います。
たとえば:
- 相手の問題を「自分のせい」にしてしまう
- 解決を代わりに引き受けようとする
- 相手の機嫌や状態に振り回される
これは「支援」ではなく、「共倒れの入り口」かもしれません。
境界線を持って関わるとは?
相手がどんなに依存的でも、干渉してきても、あなたにはいつでもこう言える自由があります。
「私は、あなたの問題を尊重しつつ、自分の限界も大事にしたい」…これが境界線を保って関わる姿勢です。
- 境界線のある関わり:相手の感情や課題は相手のもの
- 境界線のない関わり:相手の感情を自分の責任のように背負う
- 境界線のある関わり:支援はできる範囲で
- 境界線のない関わり:無理して尽くす・断れない
- 境界線のある関わり:相手を信じ、任せる
- 境界線のない関わり:相手を不安視し、コントロールしようとする
- 境界線のある関わり:自分の時間・感情を大切にする
- 境界線のない関わり:自分のことを後回しにする

自分が巻き込まれやすい関係を見つめてみよう
次の問いに、自分なりに答えてみてください。
- 最近、「この人との関係、ちょっと重いかも…」と感じた相手はいますか? その関係では、どんなやりとりが負担になっていると感じますか?
- 自分が「引き受けすぎていたこと」「言えずに我慢していたこと」はありましたか?
境界線を曖昧にしていた理由(優しさ、不安、恐れなど)にも目を向けてみましょう。
巻き込まれないための3つのポイント
- 「それは相手の課題」と確認する
→ たとえ近しい人でも、感情や問題の責任は本人にある
- 距離をとる=拒絶ではない
→ 「私はここで見守っている」と、優しく境界を引く
- 「助けすぎない」ほうが相手の力になる
→ 自分で考え、決め、失敗する機会を尊重する
支援とは、相手の「人生を自分で歩く力」を信じる姿勢でもあるのです。

依存・過干渉は、関係を壊す前に見直す必要があります。でも、完全に離れる必要はありません。
「距離」と「関わり方」を整えることで、やさしさと自由が両立できます。
あなたが境界線を持って関わることで、相手もまた自分自身と向き合う機会を得るのです。
次のセッションは、あなた自身の実生活の人間関係を見渡しながら、「今、どんな距離をとっているか?」を整理する可視化ワークを行います。