あなたは、こんなふうに感じたことはありませんか?
- 「頼まれたら断れなくて、いつも無理をしてしまう」
- 「人に気をつかいすぎて、疲れてしまう」
- 「相手の気分に振り回され、自分のことがわからなくなる」
もしもそうだとしたら、それはあなたが「やさしすぎるから」かもしれません。けれど同時に、「境界線」があいまいになっているサインでもあります。
境界線(バウンダリー)とは?
境界線とは──「ここまでは自分の責任。ここから先は相手の責任」という、心の領域を分ける「見えない線」のことです。
たとえるなら、あなたの心には「フェンス」があるはずです。でも、そのフェンスが壊れていたり、開けっぱなしになっていたりすると──
- 他人の感情や問題が自分の中になだれ込んできて、疲弊してしまう
- 自分の心を守れず、自己否定感や怒りが蓄積する
- 相手に合わせすぎて、本来の自分が見えなくなる
境界線は、人を遠ざけるための壁ではありません。それは、「お互いが気持ちよく関わるための『安心の線引き』」なのです。
境界線が健全な人は…
たとえば、次のような状態、様子です。
- 自分の感情と他人の感情を区別できる:相手が不機嫌でも、自分が悪いとは限らないと気づける
- 断ることに罪悪感がない:「できないことはできない」と穏やかに伝えられる
- 相手の問題を背負い込まない:必要な共感はするが、必要以上に巻き込まれない
- 自分のスペースや時間を大切にできる:無理な誘いや依存関係を避け、自己調整ができる
境界線を持つことで、はじめて「本当に自由で、優しい関わり方」が可能になるのです。
反対に、境界線があいまいだと…
例えば、次のような状態、心身への影響です。
- 断れない・気をつかいすぎる:ストレス・疲労感・不満が蓄積する
- 相手の感情を背負ってしまう:不安・イライラ・自己否定が強くなる
- 自分の気持ちがわからなくなる:混乱・モヤモヤ・生きづらさが増す
- 人間関係がしんどい:優しくしても空回り、利用された感覚になる
あなたが優しく、まじめで、責任感のある人であればあるほど、この状態におちいりやすいのです。だからこそ、「自分を守る線を引く」ことが大切になります。

あなたの境界線感覚をチェックしよう
次の質問に〇か×で答えてみてください(深く考えすぎず、直感でOKです)。
- 頼まれると、断るのが苦手だ
- 相手の機嫌が悪いと、自分が悪いのではと不安になる
- 自分の気持ちより、相手を優先してしまう
- 何か頼まれると、責任を感じてしまう
- 誰かの悩みを聞いていると、自分も苦しくなる
- 「ごめんね」「大丈夫?」が口ぐせになっている
- 自分の時間や予定を後回しにすることが多い
〇が多かった人は、境界線がややゆるい傾向があるかもしれません。

境界線とは、冷たくなることでも、相手を拒むことでもありません。自分を大切にしながら、相手にも誠実に関わるための「愛ある線引き」です。
この線があるからこそ、私たちは相手と対等に関われるし、自分らしさを保ったまま、優しくできるのです。
次のセッションは、なぜ私たちが「断れない」「NOと言えない」のか、その心理的な背景を探っていきましょう。