健全に「NO」を伝える 、 優しく、でもはっきりと断ることは、わがままではありません。無理をしないことは、自己中でも冷たくもありません。
「誠実に断ること」は、自分を守り、相手との関係を健全に保つ大切な行為です。
このセッションでは、ただ断るのではなく、「相手を尊重しながら、自分の立場や限界を伝える技術」=アサーティブなNOの伝え方を学びます。
アサーティブな断り方とは?
アサーションの原則に基づく断り方とは、自分も、相手も大切にしながら、はっきりと「NO」を伝える方法。
このとき重要なのは、次の3つの視点です。
重要な3つの視点
- 誠実に:断る理由があれば伝え、相手を軽んじない態度で
- 率直に:あいまいにせず、はっきりと断る意思を示す
- 対等に:「断る=失礼」「断られた=否定」ではない関係性を保つ
曖昧な言い回しや、過度なへりくだりは、相手を混乱させたり、誤解を招くこともあります。
アサーティブな断り方の基本パターン
では実際に、どんなふうに断ればいいのでしょうか?
以下の「3ステップ構成」が基本になります。
アサーティブなNOの構成
- 感謝や 共感:相手の気持ちや立場に寄り添う
- 自分の立場・理由の説明:自分の都合・感情・状況を丁寧に伝える
- はっきりと断る、または 代替案を示す:明確な返答をする+可能なら提案
【 たとえば 】
- 「お声をかけてくれてありがとうございます(感謝)
- でも、今ちょっと別の予定が立て込んでいて(理由)
- 今回は参加を遠慮させていただきます(断る)
- 「手伝いたい気持ちはあるんだけど(共感)
- 今週は体力的に厳しくて(理由)
- 他の方に頼んでもらえると助かるな(代替案)
ポイントは、「申し訳なさ」よりも、「丁寧な誠実さ」。
使いやすい断りの表現例
- 「今回はごめんなさい。今は難しそうです」:明確だが柔らかい
- 「手伝えたらよかったんですが、今は自分のことで手一杯で…」:共感+理由
- 「とてもありがたいお誘いですが、今回は辞退させてください」:感謝+はっきり
- 「今はちょっと無理そうです。またタイミングが合えば」:一時的なNO+未来の可能性
大切なのは、「今の自分に無理のない断り方」を持っておくことです。

自分の断りフレーズをつくってみよう
よくある「断れなくて困る場面」を1つ思い出してみてください(例:仕事の頼まれごと/ママ友のお誘い/家族のお願い…)
以下のパターンを使って、自分の言葉で「断るフレーズ」を書いてみましょう
- 感謝・共感 →
- 自分の理由 →
- はっきり断る、または 代替案 →
書いたら、声に出して練習してみると効果的です。

「断ること」は、人間関係を壊す行為ではありません。
無理に応じて心をすり減らすより、誠実に断るほうが、関係は長く続きます。あなたは「嫌な人」になる必要はありません。「誠実な人」になることができれば、それでいいのです。
次のセッションは、「自分と他人の課題をどう分けるか」=責任の線引きについて考えます。これにより、より深いレベルで境界線を保てるようになります。