不安・怖れをどう扱うか ~ 防衛から対話へ

不安や怖れは、できれば感じたくない感情です。そして私たちは、こんなふうに思いがちです。

  • 「弱い自分を見せたくない」
  • 「心配ばかりしてるなんて恥ずかしい」
  • 「そんなこと考えても仕方がない」

でも実は、不安や怖れもまた、あなたの心が、あなたを守ろうとしているサインなのです。

このセッションでは、不安や怖れと、どうつきあったらよいのか、自分にも他人にも優しいかたちで「言葉にする」方法を学びます。

不安や怖れの役割とは?

不安や怖れには、あなたにとっての「大事なこと」を教えてくれる働きがあります。

次のような不安や恐れの奥には、たとえば次のような思いがあります。

  • 失敗が怖い:成功したい/認められたい/恥をかきたくない
  • 人間関係が不安:拒絶されたくない/つながっていたい
  • 将来が心配:安定したい/自由を失いたくない
  • 意見を言うのが怖い:傷つきたくない/否定されたくない

つまり不安の奥には、「願い」や「守りたい価値」が隠れているのです。それに気づくことで、不安は「弱さ」ではなく、「自分の声」として受け止められるようになります。

不安を感じたとき、私たちがしていること

多くの場合、私たちは不安を抱えたときにこのような反応を取ります。

次のようなパターンの反応・行動をして、そして問題を抱えます。

  • 無視する、「気にしないようにしよう」:感情が未処理で残り続ける
  • 抑え込む、「大丈夫、平気、なんとかなる」:心身に緊張や疲れが蓄積する
  • 爆発する、「もう無理!どうせダメだし…」:周囲との関係が悪化する

大切なのは、「不安を正直に感じること」と「扱い方を知ること」の両方です。

不安を受けとめる3ステップ

1. 感じていることを、素直に認める

「私は今、ちょっと不安なんだな」「怖さを感じてるな」

2.その不安の奥にある「願い」を見つける

「失敗したくない」→「うまくやりたい」
「怒られたくない」→「認められたい」

3.小さな安心・支えになることを、自分に与える

深呼吸する、誰かに話す、考えを書き出す、少し離れる/休む、また、「不安に巻き込まれない」ために「自分との対話」を持つことが大切です。

あなたの不安にやさしく寄り添う

次の質問に、自分の今の気持ちで答えてみてください。

  • 最近、あなたが感じた「不安」や「怖れ」はどんなものでしたか? それはどんな場面で、何がきっかけでしたか?
  • その不安の奥には、どんな「願い」や「守りたいもの」がありましたか?(例:つながりたい/認められたい/自由でいたい/安心したい)
  • 今、自分にやさしくできることがあるとしたら、どんなことですか?

不安を伝えるときの言い方

不安や怖れを表現するときは、「自分を下げすぎず、相手を責めず」に伝えることがポイントです。

【避けたい例 】

  • 「あなたのせいで不安になった」
  • 「なんでわかってくれないの?」

【 心がけたい例 】

  • 「正直に言うと、今ちょっと不安で…」
  • 「自分の中で、うまくいくかどうかが気になっているんです」
  • 「こういうことがあると、自分は怖く感じやすいんです」

相手に伝えることで、「安心」が共有され、関係が深まることもあります。


不安は、あなたが「守りたいもの」や「望んでいること」を教えてくれるサインです。それを無視せず、抑えず、丁寧に受けとめることで、自分自身とも、人とも、誠実に向き合えるようになります。

次のセッションは、「喜び・感動」といったポジティブな感情をどう表現するかを学びます。それもまた、深い信頼関係を育てる大切な力です。

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