感情を「言葉にして伝えること」は、とても大切です。でも実際には──
- 「言ったのに、わかってもらえなかった」
- 「誤解されて、気まずくなった」
- 「タイミングが悪くて、伝えるのをやめてしまった」
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。このセッションでは、感情を「正直に、でも丁寧に」伝えるための、言葉とタイミングのスキルを学びます。
「感情」をそのままぶつけていませんか?
感情を伝えることと、感情をぶつけることは違います。
【 例 】
- 感情をぶつける:「なんでそんなことするの!」
- 感情を伝える:「私は驚いたし、戸惑ってる」
- 感情をぶつける:「もういい!」
- 感情を伝える:少し整理したい気持ちになってる」
- 感情をぶつける:「あなたのせいで最悪だ」
- 感情を伝える:「私はとても悲しい気持ちになった」
ポイントは、「相手を責める」のではなくて、「自分の心の中で何が起きているか」を、冷静に丁寧に伝えることです。
言葉選びの3つのコツ
1. 「私は〜」ではじめる(アイメッセージ)
- 「あなたが…」 → 責められた印象になる
- 「私は…」 → 自分の感情として伝わる
例:「あなたって無神経だね」 → 「私はちょっと寂しい気持ちになった」
2.感情を限定せず、複数言葉で伝える
「悲しい」だけでなく、「がっかり」「悔しい」「力が抜けた」など、ニュアンスを増やすことで、伝わり方が柔らかく、深くなります
3.相手を動かす前に、自分の感情だけを伝える
「どうしてくれんの?」「わかってよ」ではなくて、「ただ、今、私が感じてることだけを話してもいい?」と前置きする。それだけで、相手は「受けとる準備」をしてくれます。
伝える「タイミング」も感情表現の一部
感情を伝えるうえで、タイミングはとても重要な要素です。
- タイミングが良いと、伝わりやすく、関係が深まる
- タイミングが悪いと、相手が防衛的になり、関係が悪化することも
次のような点を意識してみましょう。
- 相手の状態はどうか(疲れてないか・余裕があるか)
- 自分の気持ちは整理できているか
- 言葉にする準備が整っているか
「いまはやめておこう」「落ち着いてから伝えよう」も立派な選択です。

伝え方を整えてみよう
最近、「うまく伝えられなかった感情」があるとしたら、どんなことでしたか? どんな言い方をしましたか? それはどう伝わったと思いますか?
もし、もう一度伝えるとしたら、次の3つを意識して表現してみましょう。
- 「私は〜」で始める
- 感情の言葉を2つ以上使う
- 要求やアドバイスで終わらず、「気持ちを伝える」にとどめる
例:「私はあのとき、すごくがっかりして、寂しさを感じてた。ただ、それを伝えそびれてしまってたんだよね」

感情は、表現の仕方で「心を近づける力」にも「傷つける刃」にもなります。だからこそ、言葉を選ぶこと、タイミングを見極めることは、人とつながる力そのものなのです。
次のセッションは、ここまで学んできたことを実生活で使ってみる、実践チャレンジのセッションに進みます。