共感とは何か? ~ 感情的に理解し寄り添う優しさ

私たちは日常のなかで、よく「共感が大事」と言われます。でも──

  • 「共感って、同情と何が違うの?」
  • 「どうしたら「ちゃんと共感できてる」って言えるんだろう?」
  • 「共感したいけど、うまくできないときもある」

そんな疑問や難しさを感じることも少なくありません。

このセッションでは、まず「共感とは何か?」を明らかにし、共感が「相手の心とつながる対話の起点」であることを実感できるようにしていきます。

共感とは「理解しようとする姿勢」

共感とは、他者の感情や経験を理解し、それに寄り添う能力を指します。他者の立場に立ってその感情や考え方を理解し、自分ごととして感じることが含まれます。

たとえすべてを理解できなくても、「あなたの気持ちを受けとめたいと思っている」という姿勢こそが、相手の心をゆるめていくのです。

共感と混同されやすい「似て非なるもの」

たとえば、次の表現で、実際に起きている例と、共感との違いは

同情
  • 例「かわいそうだね」と上から目線で眺める
  • 心の距離がある・上下関係が生まれるので、共感とは違う
励まし
  • 例「大丈夫だよ」「頑張れ!」
  • 感情の受けとめより先に改善をうながすので、共感とは違う
解決志向
  • 例「こうすればいいじゃん」
  • 気持ちより問題にフォーカスが向くので、共感とは違う
自分語り
  • 例「私も昔そうだった」
  • 話の主導権が自分に移るので、共感とは違う

どれも一概に悪いわけではありませんが、「共感」ではありません。

共感には「段階」がある

共感は、ただ「わかるよ」と言えばできるものではありません。深まりには段階があります。

実践は、最初から完璧にできなくても構いません。大切なのは「相手の立場になって理解しようとする姿勢」です。

段階1 注意を向ける

相手の感情に気づく(表情・声・雰囲気)

段階2 想像する

「どんな経験をしたのだろう?」「今どんな気持ちかな?」と想像を向ける

段階3 寄り添う

「その気持ち、わかる気がするな」と静かに共にいる

段階4 言葉にする

「そんなことがあったら、つらいよね」と声に出して届ける

共感した/されて嬉しかった体験

次の問いに答えてみてください。

  • 過去に誰かに「共感してもらえて嬉しかった」経験はありますか?  その人は、どんなふうに接してくれましたか?  どんな言葉や表情が、心に残っていますか?
  • 逆に、誰かに「共感したくてもできなかった」経験はありますか?  なぜ難しかったと思いますか?

共感を「できた/できなかった」という視点で振り返ることで、あなた自身の共感スタイルの特徴が見えてきます。


共感とは、相手を感情的に理解し寄り添おうという、静かで強力な優しさの表現です。

  • 解決より、まず感じ理解し、寄り添う
  • 正論より、まず想像する
  • アドバイスより、「わかるよ」と声をかける

そんなふうに共感を差し出せるあなたは、人と人との橋をつなぐ「対話の案内人」となれるのです。

次のセッションは、共感を「技術」として具体的に表現する方法、「共感の言葉の伝え方」「非言語の共感」の実践スキルに進みます。

error: Content is protected !!