前回は、「共感とは何か?」を心の姿勢として学びました。今回はさらに踏み込み、共感を「行動として伝える」ための技術を身につけていきます。
いくら「気持ちをわかってあげたい」と思っていても、それが相手に伝わらなければ、共感は成立しません。
このセッションでは、
- 言葉での共感(共感応答)
- 非言語での共感(表情・うなずきなど)
- 気持ちを受け止めて返す具体的な技法
を学び、「届く共感」のあり方を実践的に体得していきます。
「共感している」は、相手が決めること
共感の技術を考えるとき、大切なのはこの視点です。
「共感してるつもり」ではなく、「相手が共感されたと感じているか」です。そのために必要なのは、具体的な言葉と反応です。
共感を伝える3つの技法
1「感情をくみ取る」言葉づかい
相手が語った出来事の中から、そのときの感情に光を当てて返す。
- 「仕事で失敗してさ…」←「悔しかったよね」「落ち込んだんじゃない?」
- 「家族とケンカして…」←「つらかったね」「悲しい気持ちだったんだね」
相手の「心の温度」にチューニングするのがポイント。
2「そのまま返す」リフレクション(反映)
相手の言葉を少しだけ言い換えて繰り返す。 これだけでも、「聴いてくれてる」「受け止められている」という安心感が生まれる。リフレクションは、言葉の鏡です。
【 例 】
- 相手「最近、ちょっと人と会うのがしんどくて…」
- あなた「人と会うの、少し重たく感じるんだね」
3「言葉にしない共感」=非言語の伝え方
言葉よりも、雰囲気が「共感してるかどうか」を伝えています。
- うなずき(深くうなずく/小さくうなずく)
- 表情(眉の動き/目の力の抜き方/微笑)
- 声のトーン(穏やか/低め/ゆっくり)
- 身体の向き(正面に少しだけ向ける/相手のペースに合わせる)

共感フレーズ練習
以下のようなフレーズを使って、共感表現の練習をしてみましょう。
次の相手の言葉に、共感の一言を返すとしたら?
- 「最近、頑張ってるのに評価されなくて…」
- 「人に気を使いすぎて、疲れちゃった」
- 「小さなことなんだけど、なんかずっとモヤモヤしてて」
それぞれに対して、「感情に寄り添う一言」を自分の言葉で考えてみてください。(例:「それはしんどいよね」「悔しかっただろうな」「そのモヤモヤ、ちゃんと大事にしていいと思う」など)

共感は、心の姿勢 × 言葉の工夫 × 雰囲気のチューニングで深まっていきます。
「うまく言えなくても、そばにいる」「ちょっとの言葉でも、相手がホッとできる」、そんな「心の橋」をかけられる関わり方が、対話の中で少しずつあなたのものになっていくでしょう。
次のセッションは、共感の力を保つために欠かせない視点──「共感疲労」や「巻き込まれすぎ」への注意とセルフケアに進みます。