自動思考を見つける

無意識に浮かぶ「こころの声」に気づこう

私たちは、日々膨大な量の「考え」を頭の中で巡らせながら生きています。その中には、意識して考えているものもあれば、「気づかないうちにパッと浮かんでいる思考」もあります。

この無意識に湧いてくる思考を、心理学では「自動思考」と呼びます。

自動思考は

  • 過去の経験
  • 育った環境
  • 自分なりの価値観・信念

によって無意識に作られた思考のクセのようなものです。

そして、多くの場合、この自動思考が、私たちの感情や行動に大きな影響を与えています。

なぜ、自動思考に気づくことが大切なのか?

たとえば

  • 誰かに何気なく注意されたとき
    →「やっぱり自分はダメだ」と瞬間的に思う
  • 約束を忘れたとき
    →「私は人に迷惑をかける最低な人間だ」と感じる
  • ちょっとした失敗をしたとき
    →「もう終わりだ」と極端に絶望する

こうした反応は、一見「自然な感情」に思えるかもしれませんが、その背景には、瞬間的な自動思考が潜んでいます。

自動思考の特徴

  • とても速い(自分でも気づかないうちに浮かんでいる)
  • 過去の経験や価値観に深く結びついている
  • 多くの場合、無意識に「思い込み」に基づいている
  • 強い感情を引き起こすこともある

つまり、自動思考をキャッチできるようになると、心のクセが見えてきます。

わたしの自動思考を探してみよう

最近、こんな場面はありませんでしたか?

  • 注意されたり、否定されたとき
  • 失敗したとき
  • 人に断られたとき
  • 予定通りにいかなかったとき

それぞれの場面を思い出しながら、次の問いに答えてみてください。

  1. そのとき、どんな感情が湧きましたか?
     (例:怒り、不安、悲しみ、恥ずかしさ)
  1. その感情が生まれた直後、どんな言葉(考え)が心に浮かびましたか?
     (例:「また失敗だ」「私なんていない方がいい」「やっぱりうまくいかない」)

それが、あなたの自動思考です。

ポイント:正しい・間違っているを判断しない

このワークで書き出した自動思考を、「正しいか・間違っているか」で判断する必要はありません。

ただ、「ああ、自分はこう考えがちなんだな」と、気づくだけで十分です。

気づきがなければ、思考は自動的に心を支配します。でも、気づいた瞬間、あなたはその思考を「選び直す自由」を手にすることができるのです。


  • 自動思考とは、無意識に浮かぶ「こころの声」
  • 自動思考に気づくことで、心のクセが見えてくる
  • 書き出して「気づく」だけでも、変化は始まる