心の仕組みをシンプルに理解する
心の動きにはパターンがある
私たちの心の中では、日々さまざまなことが起こっています。
- 思ったり(思考)
- 感じたり(感情)
- 行動したり(行動)
これらはバラバラに存在しているわけではなく、お互いに影響し合いながら、私たちの心の状態や行動を形作っています。
この講義では、心の動きを「思考・感情・行動」という3つの要素で捉える、シンプルなモデルを学んでいきます。
これを知ることで、「なぜ自分はこう感じるのか、なぜこうしてしまうのか」が、ぐっと理解しやすくなります。
思考・感情・行動は三角形の関係にある
心の仕組みをわかりやすく表すために、心理学ではよく「認知行動モデル(CBT)」という考え方を使います。
それをシンプルに図にすると──

このように、思考・感情・行動はお互いに影響し合いながら回っているのです。
たとえば
【思考】「うまくいかないに違いない」
→ 【感情】不安になる
→ 【行動】チャレンジを避けてしまう
また
【感情】ある出来事があり悲しくなる
→ 【思考】「自分には価値がない」と思う
→ 【行動】人との関わりを避ける
という流れが起こることもあります。
どこかひとつに気づけば、変化は起こせる
この三角形のよいところは、どこか一つにアプローチできれば、全体が変わり始めるということです。
- 思考に気づいて、違う考え方をしてみる
- 感情に寄り添って、受け入れてみる
- 行動を変えてみることで、気持ちや考え方も変わる
つまり、自分の心の中の「流れ」を意識するだけで、変化のきっかけが生まれるのです。

わたしの三角形を探してみよう
最近、印象に残っているできごとをひとつ思い出してください。
それについて、次の3つを書き出してみましょう。
- 【思考】そのとき、どんな考えが浮かびましたか?
- 【感情】どんな気持ちが湧きましたか?
- 【行動】それに対して、どんな行動をとりましたか?
たとえば
思 考 | 感 情 | 行 動 |
---|---|---|
「きっと失敗する」 | 不安・恐れ | 挑戦をあきらめた |
このように整理するだけで、自分の心の動きがぐっとクリアに見えてきます。
まずは「見える化」するだけでいい
このワークでも大事なのは、「ただ気づいてみる」「ただ書き出してみる」ことです。
変えようと焦らなくて大丈夫。
心の動きが見えるようになると、自然に「選び直す力」が育っていきます。
今は、心の仕組みをやさしく観察する練習を重ねていきましょう。

- 心の動きは「思考・感情・行動」の三角形でつながっている
- どこか一つに気づけば、心の流れを変えることができる
- まずは自分の三角形を「見える化」してみよう