認知行動療法とは?

思考を整え、心を整える技法

認知行動療法は、現代の心理学の中でもっとも広く用いられている心理療法の一つです。

その基本的な考え方は、とてもシンプルです。

つまり──

  • 出来事そのものを変えることはできなくても
  • 出来事をどう「受けとめるか」「考えるか」を変えれば
  • 感情も、行動も、そして人生の流れも変わる

認知行動療法は、そんな、思考の使い方を整えるための実践的方法なのです。

なぜ、認知行動療法が役立つか?

人は誰でも、知らず知らずのうちに──

  • ものごとを極端に考えすぎたり(白黒思考)
  • 自分を厳しく責めすぎたり(自己批判)
  • 未来を悲観的に見すぎたり(過度の不安)

といった思考のクセを持っています。

この「認知のゆがみ」に気づかずにいると、ストレスや不安、うつ状態などが強まってしまいます。

認知行動療法の基本ステップ

認知行動療法にはいくつかの基本ステップがあります。

この講座では、特に次の3つを意識して進めていきます。

1.自動思考に気づく

「無意識に浮かんでくる考え」をキャッチする力を育てる。

2. 思考を検討する

その考え方は極端ではないか?事実に基づいているか?冷静に見直す。

3. バランスのとれた思考に修正する

必要に応じて、より現実的で自分にやさしい考え方に書き換える。

これを繰り返していくことで、心の反応や行動のパターンも、少しずつ変わっていきます。

認知行動療法が目指すもの

認知行動療法は、単に「ポジティブになろう」というものではありません。大切なのは、

  • 現実を正確に見る力
  • 極端な思考パターンに気づく力
  • 自分自身にやさしく現実的な視点を育てる力

バランスのとれた、しなやかな心のあり方を目指していきます。

そしてその結果として──

  • 不安や落ち込みに振り回されにくくなる
  • 問題解決力が高まる
  • 自分自身を責めずに生きやすくなる

そんな変化を手にしていくことができるのです。

わたしの思考グセに気づこう

次の質問に、自由に答えてみてください。

  • 最近、何か不安になったり、落ち込んだりしたできごとはありましたか?
  • そのとき、頭に浮かんだ考えはどんなものだったでしょう?
  • その考えは、今ふりかえってみて「極端だったかも」と思えるでしょうか?

このワークを通して、まずは「思考に気づく」ことから始めてみましょう。


  • 認知行動療法は「思考を整えて心を整える」心理療法
  • 出来事ではなく「考え方」が感情や行動に影響している
  • 自動思考に気づき、バランスのとれた思考を育てる練習を重ねていこう