~ 心を苦しめる思考パターンをやさしく発見する
前回、自動思考について学びました。ここではさらに一歩進んで、「どんなクセが自動思考を生み出しているのか」を具体的に探っていきます。
人はストレスがかかると、知らず知らずのうちに「認知の歪み(ゆがみ)」と呼ばれる思考のクセに陥りやすくなります。
認知の歪みとは、「ものごとを極端に・偏った視点で解釈してしまう心のクセ」のことです。
認知の歪みが心に与える影響
認知の歪みが強くなると──
- 不安や怒り、悲しみが必要以上に大きくなる
- 自分や他人に対して否定的になりやすくなる
- 生きづらさ、孤独感、絶望感を抱えやすくなる
しかし、認知の歪みに気づくことができれば、苦しみを生み出している「心のメガネ」を外すことができるのです。
10の認知の歪みチェックリスト
次に、代表的な「認知の歪み」のパターンを紹介します。
自分に当てはまりそうなものがないか、やさしくチェックしてみましょう。
認知の歪み | 説明 |
---|---|
1.白黒思考(全か無か思考) | 物事を極端に「成功か失敗」「良いか悪い」でしか考えられない |
2.過度の一般化 | たった一度の失敗を「いつもダメだ」と全体に広げる |
3.心のフィルター | ネガティブな側面だけを取り上げ、ポジティブな面を無視する |
4.マイナス化思考 | 良い出来事を無理に否定的に解釈する |
5.結論への飛躍 | 根拠もなく「きっと嫌われた」「絶対うまくいかない」と思い込む |
6.誇張と矮小化 | ミスを必要以上に大きく捉え、自分の良い点を小さく見積もる |
7.感情的決めつけ | 「不安を感じる=絶対に悪いことが起こる」と感情を事実と混同する |
8.べき思考(自己への過剰な期待) | 「○○すべき」「○○でなければならない」と自分を縛る考え方 |
9.レッテル貼り | 自分や他人に対して、単純化した否定的なラベルを貼る |
10.個人化 | 何でも自分のせいだと考える(他人の問題まで背負ってしまう) |

わたしの「認知の歪み」チェック
次の問いに答えてみましょう。
- 最近、不安やイライラ、落ち込みを感じたできごとは何でしたか?
- そのとき、どの「認知の歪み」が出ていたと思いますか?
(※複数当てはまってもOKです)
【 記入例 】
出来事 | 出た認知の歪み | 具体例 |
---|---|---|
ミスをしてしまった | 白黒思考・誇張 | 「こんなミスをするなんて最低だ」 |
書き出すことで、「心のクセ」を客観的に見られるようになり、変化のきっかけがつかめます。
認知の歪みは「直す」より、まず「気づく」
ここで大切なのは、認知の歪みを「悪いもの」として責めないことです。
- ストレスが高まったときには、誰にでも起こる自然な反応です。
- 気づいたときに「またやってるな」とやさしく微笑んであげましょう。
気づくことだけで、心の自由度は確実に上がっていきます。

- 認知の歪みとは、ものごとを偏って捉える心のクセ
- 代表的なパターンを知り、認知の歪みに気づこう
- 気づくことは、心を軽くするための第一歩