心の奥に隠れている「人生の前提」を見つける
『ビリーフ(Belief)』とは、「自分はこういう存在だ」「世界はこういうものだ」という、心の奥に根づいている思い込みや信念のことです。
ビリーフは
- 物心ついたころの経験
- 親や周囲の人から受け取ったメッセージ
- 社会や文化の影響
などを通じて、自分でも気づかないうちに形成されます。
ビリーフが心に与える影響
私たちの思考や感情、行動の多くは、この「ビリーフ」に基づいて動いています。
たとえば──
ビリーフ(思い込み) | そこから生まれる思考・感情・行動 |
---|---|
「私は頑張らなければ価値がない」 | 休むことに罪悪感を持ち、無理を重ねて疲弊する |
「人は必ず裏切る」 | 他人を信じられず、孤独感を深める |
「感情を見せたら弱いと思われる」 | つらくても弱音を吐けず、心が疲弊してしまう |
「成功してはいけない」 | チャンスが来ても自分で台無しにしてしまう(自己破壊) |
「私は愛されない存在だ」 | 人からの好意を素直に受け取れず、不安で関係を壊してしまう |
「完璧でなければ認められない」 | 失敗への恐怖が強く、挑戦を避けたり、強い自己批判をする |
「人に迷惑をかけてはいけない」 | 必要以上に他人に気を使い、自分を犠牲にする |
「わたしには何もできない」 | 物事を始める前から諦めるクセがつき、自信を持てない |
このように、ビリーフは心の「フィルター」となって、現実の感じ方そのものを歪めてしまうことがあるのです。
そして──
- どれだけ周囲が励ましても
- どれだけ状況が改善しても
ビリーフが変わらない限り、本人の中では「変わった」と感じられない場合もあります。だからこそ、ビリーフに気づき、やさしく問い直していくことが大切なのです。
ビリーフに気づくと、選択肢が広がる
ビリーフは、私たちの心の「設計図」のようなもの。でも、一度できたビリーフも、「気づくこと」で書き換えることができます。
ビリーフに気づくと──
- それに支配されずに、違う考え方や行動を選べるようになる
- もっと自分を自由に生きることができる
「自分を縛っていたのは、自分の深い思い込みだった」そう気づけたとき、心に大きな変化が起こり始めます。

わたしのビリーフを探してみよう
次の質問に、素直な気持ちで答えてみましょう。
- あなたが無意識に繰り返している思考パターンは?
- その奥には、どんな「前提」や「決めつけ」が隠れていそうですか?
(例:「私は○○な存在」「世界は○○な場所」)
【 例 】
繰り返す思考 | 隠れているビリーフ |
---|---|
「どうせうまくいかない」 | 「私は成功してはいけない」 |
「怒られるのが怖い」 | 「私は受け入れられる価値がない」 |
最初はうまく言葉にできなくてもかまいません。
心の奥にある「なんとなくの感じ」を大切にして書き出してみましょう。
ビリーフは、かつて自分を守ってくれたもの
最後に、忘れないでほしいことがあります。あなたのビリーフは、もともとあなたを守るために生まれたものだった、ということです。
- 傷つかないように
- 愛されるために
- 受け入れられるために
子どものころのあなたにとって、それは「必要なルール」だったのかもしれません。
だから、たとえ今の自分を縛るビリーフだったとしても、「よくここまでがんばってきたね」と、感謝してあげることがとても大切です。
そこから、新しいビリーフを育てる準備が始まります。

- ビリーフとは、心の奥にある「深い思い込み」や「人生の前提」
- ビリーフに気づくと、自動思考や感情の源が見えてくる
- 気づくことから、新しい自由な生き方への扉が開く