心の奥の「思い込み」をやさしく再構成する
ビリーフは変えられる
前回、あなたは心の奥にある「ビリーフ」に気づきました。
では次のステップは──
そのビリーフを、やさしく書き換えること
ビリーフは、「変えよう」と強引に押しつぶすものではありません。やさしく、丁寧に問いかけ、少しずつ新しい考えを育てていくものです。
この講義では、具体的にどうやってビリーフを書き換えていくか、「3つのステップ」でシンプルに学んでいきましょう。
ビリーフを書き換えるための3ステップ
ステップ1.気づく:自分のビリーフを特定する
まずは、「自分はどんなビリーフに縛られているのか?」を明確にします。
できるだけ短い言葉・率直な表現で書き出しましょう。
【 例 】
- 「わたしは愛されない存在だ」
- 「失敗する自分には価値がない」
- 「がんばらないと認めてもらえない」
- 「わたしは他人を信じてはいけない」
- 「弱さを見せたら見捨てられる」
まずは、「ああ、こんなふうに思ってたんだな」と気づくこと。
責めたり否定したりしないで、そっと見つめてあげましょう。
ステップ2.問い直す:そのビリーフをやさしく見つめる
次に、そのビリーフにやさしく問いかけます。
【 問いかけ例 】
- これは本当に絶対に正しい?
- すべての場面に当てはまる?
- 小さいころ、そう思い込まざるを得なかった事情はあった?
- 今のわたしにとって、このビリーフは役に立っている?
【 例 】
気づいたビリーフ | 問い直しの気づき |
---|---|
「わたしは愛されない存在だ」 | 小さいころ親に怒られることが多かった。でも、今は別の人間関係もある。 |
「失敗する自分はダメだ」 | 子どものころ、失敗すると叱られていた。でも、今は失敗も成長の一部だと知っている。 |
「人は必ず裏切る」 | 過去の一度の裏切りが強く印象に残っているだけかもしれない。 |
問い直すと、ビリーフが「絶対の真実」ではないことに気づき始めます。
ステップ3.新しいビリーフを育てる
最後に、今の自分にとってやさしく、力を与える新しいビリーフを考えます。
【 例 】
もとのビリーフ | 新しいビリーフ |
---|---|
「わたしは愛されない存在だ」 | 「わたしには愛される価値がある」 |
「失敗する自分には価値がない」 | 「失敗しても、わたしの価値は変わらない」 |
「がんばらないと認められない」 | 「わたしはそのままで十分に価値がある」 |
「人は必ず裏切る」 | 「信頼できる人も、必ず存在する」 |
「わたしは無力だ」 | 「小さな一歩を積み重ねる力が、わたしにはある」 |
この「新しいビリーフ」は、すぐに完璧に信じられなくてもかまいません。
何度もやさしく自分に語りかけ、心に少しずつ根づかせていくことが大切です。

わたしのビリーフを書き換える
あなた自身のビリーフで、実際にワークしてみましょう。
【 例 】
気づいたビリーフ | 問い直した気づき | 新しいビリーフ |
---|---|---|
「私は人に迷惑をかけてはいけない」 | 迷惑をかけることは、人間関係では自然なこと。完璧な人はいない。 | 「わたしは不完全でも受け入れられていい」 |
「わたしには何もできない」 | 小さな成功体験もある。挑戦してきた証拠もある。 | 「わたしにはできる力がある」 |
ビリーフの書き換えは「育てるもの」
ビリーフの書き換えは、一度のワークで完璧になるものではありません。
- 日々、何度も新しいビリーフを思い出す
- 小さな行動で「証拠」を積み重ねる
- やさしい自己対話を重ねる
そうして、あなた自身を信じる「新しい心の地図」を作り直していくのです。
焦らず、コツコツと。変化は必ず、静かに、でも確実に起こります。

- ビリーフは、気づき・問い直し・新しいビリーフ育成3ステップで変えられる
- 新しいビリーフは、少しずつ「育てる」もの
- あなたには、自分を自由にする力がある