視点を変えるエンプティチェア法(簡易版)

固まった心をほぐす、やさしい対話ワーク

エンプティチェア法は、もともとゲシュタルト療法という心理療法で使われる、「空の椅子」を使った自己対話ワークです。次のような効果があります。

  • 固まった考え方や感情に「別の視点」を与える
  • 頭で考えるだけでは見えない「新しい気づき」を得る
  • 心をやわらかく、自由にしていく

この講義では、その方法を簡単にして活用します。

どんなふうにやるの?

基本の形は、とてもシンプル。

  1. 自分の目の前に「空の椅子」を用意する(またはイメージする)
  2. その椅子に、対話したい相手や、心の中の一部分(たとえば「厳しい声」)を座らせる
  3. 自分と椅子に座った存在との間で、言葉を交わす(実際に声に出してOK)

つまり、自分の内面を「対話形式」で表に出すワークなのです。

たとえば、こんな使い方

例1:自分の中の「厳しい声」と対話する

  • 自分:「なぜそんなに厳しく言うの?」
  • 厳しい声:「失敗したら、あなたが傷つくのが怖いから」
  • 自分:「そうだったんだね。でも、そんなに責めなくても大丈夫だよ」

厳しい声の奥にある「守ろうとする気持ち」に気づける。

例2:過去の自分と対話する

  • 自分:「小さいころの私、何を感じていた?」
  • 子ども時代の私:「さみしかった。もっと抱きしめてほしかった」

過去の自分の本音にやさしく寄り添うことができる。

なぜ、エンプティチェアが効くのか?

  • 「言葉にする」ことで、ぼんやりした感情や思考が明確になる
  • 「相手の立場」を体験的に感じることで、視点が広がる
  • 「感情を動かす」ことで、頭だけで理解するより深く変化が起きる

つまり、考えすぎて固まった心を、体験を通じてほぐしていく方法なのです。

簡単エンプティチェア体験

【 やってみよう 】

  1. 静かな場所に椅子を一脚用意する(または椅子をイメージする)
  2. その椅子に、「自分を責める声」や「不安な気持ち」などを座らせてみる
  3. 自分と椅子の存在で、短い対話をしてみる

【 自分への問いかけ例 】

  • あなたは、なぜそんなふうに感じているの?
  • あなたが本当に伝えたかったことは何?
  • 今、何を必要としている?

エンプティチェアを使うときのポイント

  • 正しいやり方、間違ったやり方はありません
  • 浮かんでくる言葉や感情を、自由に受け止めてください
  • 途中で涙が出たり、怒りが湧いたりしても大丈夫
  • 無理にまとめず、感じたことをそのまま大切にしましょう

  • エンプティチェア法は、心の対話を外に表現するワーク
  • 固まった考え方や感情に「別の視点」を与えることができる
  • 正解を求めず、自由に、やさしく自分と向き合うことが大切