対人関係と人生態度・ラケット感情の関係

私たちはふだん──相手と話すとき、相手の態度を受け取るとき、自分の感情が動くとき、無意識のうちに、自分の「人生態度」や「ラケット感情」に沿った反応をしていることが多いのです。

人間関係には「心のパターン」が現れる。

つまり人間関係の中には、自分の心の深いパターンがそのままあらわれている、ということです。

たとえば、こんな場面で

たとえ話【1】

会社で上司に「もっと積極的に意見を出して」と言われたAさん。

  • 本当は怖くて緊張しているのに「そんなこと言ったって無理ですよ!」と怒りで返してしまう。
  • 本来の感情(怖さ・不安)を、ラケット感情(怒り)で表現してしまった例。

たとえ話【2】

友達が元気がない様子を見せたとき、Bさんはそっと距離を取った。

  • 本当は心配で寄り添いたかったけど「私なんかが気にかけても迷惑だろう」と無関心を装った。
  • 人生態度【I’m not OK, You’re OK】が働いた例。本当は「心配しているよ」と言いたかった。

たとえ話【3】

Cさんは、恋人に頼られるとすごく嬉しい。

  • でも、何でもしてあげようと無理を重ね、疲れ切ってしまうことがよくある。
  • ラケット感情(自己犠牲)が働いた例。 本当は「私も支えられたい」気持ちを我慢している。

「人生態度」が対人関係に与える影響

人生態度(ライフポジション)がどう人間関係に影響するか、具体的に見ていきましょう。

たとえば──

このように、自分の持つ基本的な心の姿勢が自然と相手との関わり方ににじみ出てくるのです。

「ラケット感情」が対人関係に与える影響

ラケット感情も、人間関係に大きな影響を与えます。

たとえば──

本当はもっと素直に伝えたい感情があったのに、ラケット感情によって「違う感情」で反応してしまうことで、すれ違い、誤解、心の距離が生まれることがよく起こります。

人間関係で起きる「ズレ」の例

さらに、シチュエーション別で見ると

  • 会社のミーティングで、本当は意見を言いたかったのに、
     → 強がりで「別にいいです」と言ってしまった
  • 恋人に会いたかったのに、
     → 本音を隠して「忙しいでしょ?」と気を使ったフリをしてしまった
  • 友人に相談したかったのに、
     → 「どうせ迷惑だろうな」と無関心を装って何も言えなかった

こうして、本当はもっとつながりたかった気持ちが、ズレた表現によって遠ざかってしまうのです。

こんな場面、思い当たることはありますか?

  • 本当は「寂しい」と言いたかったのに、冷たくしてしまい、相手も距離を取った
  • 本当は「助けてほしい」と思ったのに、「大丈夫」と強がってしまい、孤立した
  • 本当は「感謝している」のに、素直に伝えられず、ぎこちない関係になった

これらはすべて、人生態度やラケット感情が無意識に影響した結果なのです。

わたしの心のパターンを人間関係に探してみよう

【問いかけ】

  • 最近、人との間で「本当は違うふうに伝えたかった」と思った場面はありますか?
  • そこには、どんな人生態度(OK/NGの感覚)があったでしょうか?
  • もしかしたら、どんなラケット感情が働いていたでしょうか?

【ワークシート例】

もっと深く考える問いかけ

  • 本当は、どんなふうに気持ちを伝えたかったでしょうか?
  • これから、もっと素直に気持ちを伝えるために、できそうな小さな一歩は何でしょう?

自由に書き出してみましょう。

パターンに気づくと、人間関係は変わり始める

心のパターンに気づくことは──自分や相手を責めるためではありません。

気づくことで、新しい選び方、新しい伝え方、新しい関係の築き方が、少しずつできるようになるのです。あなたには、これまでとは違う、あたたかなつながり方を選び取る力がもう育ち始めています。


  • 人生態度とラケット感情は、人間関係の中に自然とあらわれる
  • 本当の気持ちを隠すことで、すれ違いが起きやすくなる
  • 気づきは、素直なつながりを育てる第一歩になる