代表的な心理ゲームをさらに紹介します。
心理ゲームをあなたがしていないか、他の人がしてないかチェックしてみましょう。これをゲーム分析と言います。

ゲーム分析
下記の代表的な心理ゲームの説明を読んで、次について気づいたことなどをノートに書きましょう。
- 自分がしている・していたと思うゲームは?
- 自分が乗せられている・乗せられたと思うゲームは?
- 自分は参加者ではないが起きている・起きていたと思うゲームは?
代表的な心理ゲーム
心理ゲームは、仕かけようとする人の役割が「犠牲者」「迫害者」「救援者」のどれかによって大別でき、そのそれぞれに代表的なゲームがあります。


犠牲者・被害者型の代表的な心理ゲーム
犠牲者の心理ゲームを仕かける人の隠された目的感情は「私はOKではない」です。人生態度が「私はOKではない」になり「私はOKではない」と無意識的に支配されているような状態になっています。
そのために、わざわざ人に否定的に思われるような振る舞い・言動をして、怒られたり、責められたり、馬鹿にされたり、あきれられたり、見捨てられたりするような結果も招いています。
次の代表的なゲームがあります。太字はゲームの名前です。
ひどいものだ、かわいそうな私
自分の不幸な生い立ちや環境を嘆いてみせ「私はOKではない」という言動をして、相手が同情して応答するようにする。しかし、相手がいくらアドバイスをしても何らか理由をつけて受け入れない。
私は、バカなんです
「私はバカなんです」「私は能力がないんだ」「私なんかダメだ」等と「私はOKではない」という言動や態度をする。
そして、相手がそんなことはないと肯定してくれても、そういう言動や態度をしつづけて「私はOKではない」を強化する。
キックミー
失敗やルール違反を繰り返しして、他者の注目・認知を得て叱られるような状況にして「私はOKではない」の状態をかなえる。
例えば、規則を破ったり、遅刻を続けたり、重要な物を繰り返し失くしたり、家庭内の子どもの朝寝坊もこの場合がある。
愚か者
能力がない、馬鹿だ等、愚か者だと言われるようなことをして自分を愚か者だと言って他者の注目・認知を得て「私はOKではない」の状態をかなえる。
例えば、うっかりミスをしては自分で騒ぎ注意をされるようなことを繰り返す。
うまくいかないのは~のせい
自分がうまくいかなかった、失敗した、できないことを、自分の努力の問題だと考えない、自分の考え方や言動や能力等を変えて解決しようと考えない。
そして、例えば性別、学歴、病気、身体的障がい、経済状態、生まれ等々のせいとして自己防衛し、そのせいという言動を繰り返したり、殻の中に閉じこもり「私はOKではない」にいつづける。
苦労性
自己犠牲的に人のために行動する。「私はOKではない」という立場で自己犠牲的な行動をし存在認知を得ようとする。しまいに体を壊したりして周囲に迷惑をかけてひんしゅくを買うこともある。
ワーカホリック(仕事中毒)
もうこれ以上はできない・無理という状況なのに「できない」とは言わずに新たに仕事や引き受けたり家事を増やしたり、わざわざ時間がかかるやり方をしたりする。
また、、今日中にしなくしてもよいことをやって遅くまで残業を繰り返したり、心身を壊したりするほどまでして「私はOKではない」となることをかなえる。
私さえ我慢すれば
自分のしたいようにしたり主張すると波風が立つ、人間関係が壊れると恐れて、自分が我慢したほうがよいと、子どもや親や夫婦や兄弟、会社や上司や部下、家の所有等々、何らかのために「自分さえ我慢さえすれば」と、ひたすら耐える。
「もう我慢は嫌だ」と踏み出せば異なる展開となる可能性が開けますが、多くの人の場合、「しかたないんだ」「これしかないんだ」と自分に言い聞かせるようにしてゲームを延々と続けてしまう。
犠牲者のゲームにはこのほか「私はこんなに一所懸命やったのに」「どうして私ばかりにこんなことが起きるんだ」というゲームなどがあります。
迫害者型の代表的な心理ゲーム
迫害者の役割のゲームを仕かける人の隠された目的感情は「あなたはOKではない」です。
人生態度で強い「あなたはOKではない」を持っていて、「犠牲者」にできる人を見つけだしてはゲームを仕かけ、その人を「OKではない人」にしようとします。
たとえば、身近な人間関係で「あなたはOKではない」としやすい人がいると、その人をやり込められることをささいな言動や出来事の中にみつけたり、つくりだしては、繰り返し繰り返しやり込め「OKではない人」にするようになります。
あら探し
相手の些細な失敗や問題点をみつけては、それにつけ入り相手をやりこめて、相手を「OKではない人」として、優位に立とうとする。
例えば、その人の発言や文書が内容がどうであっても、内容より言い方、気配り、態度、誤字、脱字、文章等々についておかしいと指摘しては「なってない」などと責めるようなケースもある。
はい、でも
助けや助言を求めたり、求めているように思わせ、人から共感や助言を引き出そうとする。そして「でも~」と何らか理由をつけては、それを受け入れないことを続ける。そうして共感や助言をした人を役に立てないだめな人「OKではない人」とする。
一見、犠牲者のように受動的な姿勢を取りながら、けして人からの働きかけを受けいれないで、裏面で人を攻撃しているので「受動攻撃タイプ」と言われる。
子どもである自分をわかろうとしてくれなかった親、支配的に言うことを押しつけた親、過剰に干渉して決めつけた親などとの関わりの中で、「あなたはOKではない」という姿勢を持った場合に多く見られるゲームです。
大騒ぎ
相手にとって不快なことをして相手に怒りの感情が起きるようにして、相手がこれに応じると、自分がしたことを棚にあげて「あなたは」「あなただって」「私だけが悪いんじゃない」「私だけを責める」などと言って大騒ぎをして、相手を責める。
さぁ、つかまえたぞ、このやろう
相手が失敗をするような状況をつくって、相手が失敗をすると、それにつけ入って相手を「OKではない人」と責めて優位に立とうとする。
例えば、仕事Aを期日に済ませるように指示し、その後に次々に別の仕事や用事を頼み、仕事Aを期日にできない状況をつくり、期日がくると「私はちゃんと期日を守るように言ったじゃないか。だから君には何も頼めない、だから君はだめだなんだ」と責めるなどのゲーム。
あなたのせいでこうなった
自分の過ちや失敗を素直に認めないで、他の誰かに責任を転嫁して、その人を責め、「OKではない人」だと罪悪感を抱かせようとする。
例えば、民主的な人間だと振るまい多数決で決めておきながら、実行結果が悪くなると、実行案を提案した人などのせいと言い出し、その人を責めだすなどのようなゲーム。
ケンカさせてやろう
Bのところに行き「Cがあなたのことを○○と言っていた」と言って、CがBを悪く言っていたように思わせ、それにBが何を言ったりすると、次はCのところに行き「Bがあなたのことを△△と言ってた」と言って、BがCを悪く言っていたと思わせる。
そうして二人の関係を悪くさせ、他者を「OKではない人」にする。
迫害者のゲームにはこのほか「あなたはひどい人だ」「あなたのせいでこうなった」「あなたが私にさせたことといったら」というゲームなどがあります。
救援者型の代表的な心理ゲーム
救援者の役割のゲームを仕かける人は、他者を救援するような振るまいをしながら、実は「あなたはOKではない」の人生態度を持っているために人を助けてあげようという姿勢をとります。
迫害者と同じ「あなたはOKではない」の人生態度です。ですから、はじめは救援していても、相手が自分の思うようにしないので「私がこんなに○○してあげてるのに!」と迫害者に変わり、相手を責めるようになることが多いことになります。
おせっかい
人を見守っているだけができず、頼まれもしないのに手や口を出して、よけいな干渉だと嫌がられ「うるさい」と言われるほどに介入する。
このゲームを強くしてしまう傾向になっている人は、拒否されてもしつこく介入して、おせっかいを焼いて、結末では相手は怒り出すか逃げる。
このゲームをする人のゲームの結末は「こんなに私がしてあげているのに、あなたはなんだ!」や「私はこんなにしてあげてもわかってもらえない、嫌がられる人間だ」のようになる。
こんなに私がムリをしているのに
心の中では反対しながら表面はつくろい協力的に振るまっておいて、後になって事態をこじらせる。
例えば、みんなで決め事をしていて決めるべきことが決まり、話し合いを終えようとするタイミングで、「実は賛成しようと努力はしたのですが、どうしても気になることが」と言い出したりする。

心理ゲームに気づかないでいると、苦い感情、否定的な感情になるパターンが繰り返されて、暮らし全体を辛いものにします。
今一度、心理ゲームをしていないか、心理ゲームに乗っていないか、代表的なゲームについて考えてみましょう。そして、追加することがあったらノートに追記しましょう。