― 自分を守るために、責任を押しつけ合う心のドラマ
このゲームは、心の奥にある「自分が悪いと思いたくない」「正しさを保ちたい」という気持ちと、同時に「責められたくない」「無力感を避けたい」という恐れが交錯する中で、無意識に展開されます。
結果的に──本当は分かり合いたかったのに、本当は信頼関係を築きたかったのに、責任を押しつけ合い、対立や孤立を深めてしまう、そんな苦しいゲームです。
どんなふうに起きるのか?
典型的な流れ:
- 誘い:「あなたのせいで…」「なんで私が…」という責任転嫁的な態度で始まる
- 応答:相手が防御的になったり、反論してくる
- 転換・混乱:互いに感情的になり、言い争いに発展する
- 結末・報酬:「やっぱり私は被害者だ」「やっぱり相手はわかってくれない」という確信を強める
たとえば、こんな場面
例:仕事でのトラブル
- チームプロジェクトでミスが発生した。
- あなたは焦って、「ちゃんと確認してくれてたら…」と同僚を責めた。
- 同僚は「いや、指示があいまいだったじゃないか」と反論。気まずさと怒りが募り、関係がぎくしゃくした。
- 結果:「やっぱり私はわかってもらえない」という孤立感を感じる。
例:家族とのやり取り
- 休日、家族との約束を忘れていたあなた。
- 注意されると、「だって最近すごく忙しかったんだから!」と逆ギレしてしまった。
- 家族はあきれ顔で黙り込み、あなたは自己嫌悪に陥った。
- 結果:「結局、誰も私を理解してくれない」と落ち込む。
なぜ、このゲームが起きるのか?
このパターンの背後には、
- 「間違った自分」を受け入れるのが怖い
- 「無力な自分」を認めたくない
- 「責められたら、自分の存在が否定される」と感じる恐れ
など、深い自己防衛の欲求があります。
だから、
- 無意識に責任を押しつけたり
- 相手を批判したり
- 被害者の立場に立とうとする
そんな行動が、無意識に出てきてしまうのです。

わたしにも「責められる私」パターンがある?
【問いかけ】
- 最近、人とのやり取りで「言い訳をした」「責めた」「責められた」と感じた場面はありましたか?
- そのとき、本当はどんな気持ちがあったでしょうか?
- もし素直に気持ちを伝えるとしたら、どんな言葉になったでしょうか?
【記入例】
出来事 | 本当の気持ち | 本音を素直に伝えるとしたら |
---|---|---|
友達に予定変更を責められた | 申し訳ない+疲れていて余裕がなかった | 「本当にごめん、無理をしてたんだ」 |
どうすればこのパターンを超えられるか?
- 「完璧じゃない自分」を受け入れること
- 「悪者探し」をやめて、「どうしたかったか」に焦点を当てること
- 攻撃や防御ではなく、本音を正直に伝える勇気を持つこと
たとえば──
- 「私もミスしてしまった、あなたも大変だったよね」
- 「本当は、もっと支え合いたかった」
こうして、責める・責められる関係から、分かち合う関係へと変えていくことができるのです。

- 「責められる私」パターンは、正しさを守りたい気持ちと、傷つきたくない防衛が交錯して生まれる
- 責任を押しつけ合うやり取りの奥には、自己防衛と本音のズレがある
- 素直な気持ちに気づき、攻撃や防御ではなく本音で伝えることが、脱ゲームへの道