これまで見てきたように、、心理ゲームは、ただ偶然起きるのではありません。そして、どのゲームにも共通する「進み方(構造)」、典型的な流れがあるのです。
その構造・典型的な流れを知ることで、
- 今、どの段階にいるのか
- このまま進むとどうなるのか
- どうやったら巻き込まれずにすむのか、がわかるようになります。
心理ゲームの基本構造「典型的な流れ」
心理ゲームは、次の4つの「起承転結」の段階をだとります。
起 ― 誘い・仕かける
さりげない言動で、ゲームへの入り口がつくられる。
心理ゲームを仕かける人は「私はOKではない、あなたはOK」「私はOK、あなたはOKではない」「私もあなたもOKではない」のいずれかの状態・感情となることを隠された目的にして、ゲームにのる可能性のある相手をゲームに誘います。
承 ― 応答
仕かけられた人が反応=応答してゲームが始まります。 応答しなければ始まりません。
転 ― 転換・混乱
やり取りがずれ、感情的な混乱が起きる。
仕かけた人の「はぐらかし」などによって、仕かけた人、仕かけられた人の役割が変わりながら(転換をしながら)ゲームは進みます。混乱の感情も生じます。役割については次のページで説明します。
結 ― 結末・報酬
双方が苦い感情(ラケット感情)を味わう。心理ゲームの終わりは次のようになります。
- ゲームを仕かけた人は、目的どおりの状態・感情の結末になる。
- 仕かけられて応答した人は「どうしてこんなことになったのか」と混乱もし、仕かけた人が目的どおり状態・感情となるための状態・感情になる。
たとえば、こんな流れ
【 例:友人関係で 】
- 【起・誘い】
Aさん:「どうせ私なんて誘ってもらえないんでしょ」(実は心理ゲームへの誘い) - 【承・応答】
Bさん:「そんなことないよ。今度誘うよ」と応じる。 - 【転・混乱】
Aさん:「でも、ほんとは私のことどうでもいいんでしょ!」と責める。 (ずれが発生) - 【結・報酬】
Aさん:孤独感・寂しさ・怒りが残る。
Bさん:戸惑いや疲労感が残る。
Aさんは「私はOKじゃない」「人もOKじゃない」という人生態度から、そういう状態・感情になることを目的に、無意識のパターンで、ゲームにのりそうなBさんに誘いをかけた。
Bさんが優しくそれに応答すると、Aさんは「私はOK」で「BさんがNO(な人間だ)」と役割を転換して、Bさんを責めて、誘いのときとは違うようになった。
そして、やり取りの結末では、Aさんは目的のとおり「私はOKじゃない」や「人はoKじゃない」という状態、感情になった。応答しゲームにのったBさんも「私はOKじゃない」また「人はOKじゃない」というような思い・感情になった。
なぜ、この流れにハマってしまうのか?
- 最初の「誘い」は、ほとんど無意識に発せられる
- 相手も無意識に「応じて」しまう
- 互いの本当の欲求や気持ちがズレたまま進行していく
- 最後には、予定されていた苦い感情(ラケット感情)を再体験する
つまり、心理ゲームは、「無意識の心の台本」が演じさせるドラマなのです。

ゲームの「起承転結」を探してみよう
【 自分への問いかけ 】
- 最近、人とのやり取りで「変な流れになってしまった」と感じた場面はありましたか?
- そのとき、自分はどんな「誘い」を発していなかったか?
- 相手はどんな「応じ」をしてきたか?
- どんな「転換・混乱」が起きたか?
- 最後にどんな「感情(報酬)」が残ったか?
【 記入例 】
起(誘い) | 承(応答) | 転(混乱) | 結(報酬) |
---|---|---|---|
本当は手伝ってほしかったのに「いいよ、自分でやる」と言った | 相手が「じゃあ任せるよ」と言った | 「私の気持ち、わかってない!」と怒りが湧いた | 孤独感、無力感 |
起承転結への意識で、ゲームから抜け出せる
この「起承転結」の流れに気づくようになれば
- 自分が「誘い」をしていたら気づける
- 相手の「応答」を冷静に受け止められる
- 人の「誘い」に気づけて「応答」するのを避けられる
- 混乱が起きそうなとき、立ち止まれる
- 苦い感情を再体験せずにすむ
そして、心理ゲームの「台本」から自由になる選択肢が生まれるのです。

- 心理ゲームには「起(誘い)→承(応答)→転(転換・混乱)→結(報酬)」という流れがある
- この流れは無意識の心の台本によって動いている
- 起承転結を意識することが、ゲームから自由になる第一歩