心理ゲームが進行するとき、人は無意識のうちに、ある特定の「役割」を演じ始めます。
この「役割」を理解すると──
- どうして関係がこじれるのか
- なぜ疲れてしまうのか
- どうやったら巻き込まれずに済むのか、がぐっとわかりやすくなります。
心理ゲームの役割「ドラマ三角形」とは?
交流分析(TA)では、心理ゲームの中で人が取りがちな3つの役割を「ドラマ三角形(Drama Triangle)」と呼びます。この三角形の中には、次の3つの役割があります。


心理ゲームは、誰かが「犠牲者」「迫害者」「救援者」のような役割を「そこまでするか」「やめればいいのに」と思うくらい必要以上に執拗にしているとき、起きています。
それぞれの役割は、次のようなものです。
犠牲者(被害者)
無力感、不安、認められたい願望、他者の助けを誘うような無力さの言動が特徴の役割。
迫害者
相手を見下したり正そうとする排他的な役割、コントロールしたい、怖れから支配しようとする。
救済者
相手の自立を損なって依存心を高めるような役割、相手を助けることで自分の価値を感じたい、でも相手を下に見てしまう。
ドラマ三角形の特徴
- 「私はOKではない」から、必要以上に自分を責めたり、できない人、だめな人、みじめな人というような「犠牲者」になります。
- 「あなたはOKではない」から、必要以上に人を責めたり、やり込める「迫害者」や、必要以上に人に手助けをよけいなほどにもしようとする「救援者」になります。
そして、心理ゲームは、転換と言い参加者の役割が交わりながら進むすることが多いです。
- 1人1役ではなく、状況に応じて役割が入れ替わることも多い
- 最初は「助けたい」「守りたい」という善意から入ることもあるが、
→ 途中で「責める」「見捨てられる」などのすれ違いが起きる - 最終的には、全員が疲弊して終わることが多い
つまり、どの役割にいても、心から満たされることはないのです。
参加者の誰か一人がその役割を演じることをやめると、ゲームは中断されることになります。3人が役割を演じ続けるとゲームは結末まで進みます。
たとえば、こんな流れ
【 例:友人とのやり取り 】
- Aさん(救済者):「何かあったら私に相談してね」
(相手を支配する形で「助ける」ポジションに立つ) - Bさん(被害者):「うん、頼りにしてる」
- Aさん(迫害者):「なんで相談もせずに勝手に決めたの?」
(怒りに変わり、相手を責める) - Bさん(被害者):「ごめんなさい…もう頼らない…」
(無力感と孤立を深める)
こうして、誰も幸せにならない結末が訪れます。

わたしがとりやすい役割は?
【 自分への問いかけ 】
- 最近、誰かとのやり取りの中で、 「助けすぎた」「責めてしまった」「無力感に浸った」ことはありましたか?
- そのとき、自分はどの役割にいたでしょうか?
- 本当はどんな関わり方をしたかったでしょうか?
【 記入例 】
出来事 | 取った役割 | 本当はしたかった関わり方 |
---|---|---|
友人の相談に乗りすぎて疲れた | 救済者 | 寄り添うだけにして、自分を守るバランスも取りたかった |
「役割を降りる」という選択
この三角形から抜け出すには──
- 迫害者にもならず
- 被害者にもならず
- 救済者にもならず
「対等で、尊重し合う関係」を選び直すことが大切です。
たとえば──
- 「私はあなたの力を信じているよ」
- 「一緒に考えようか?」
- 「自分のペースで大丈夫だよ」
こんなふうに、お互いの力と可能性を信じる関わり方に、少しずつシフトしていきましょう。

- 心理ゲームの中では、迫害者・被害者・救済者という役割を無意識に演じることが多い
- 役割をとると、関係はこじれ、誰も本当に満たされない
- 役割を降り、対等な関係を選び直すことで、心理ゲームから自由になれる