― 流れを見抜き、巻き込まれない力を育てる
これまで学んできたように、心理ゲームは、偶然のすれ違いやトラブルではありません。
- 人生態度やラケット感情
- 心の中にある欲求と防衛
- 無意識の反応
- そして、役割(迫害者・被害者・救済者)
これらによって、ほぼ決まったパターンで展開していくドラマなのです。そのパターンとは「起・承・転・結」です。
心理ゲームの「起承転結」
段階 | 内容 |
---|---|
起(誘い) | さりげない言動で、ゲームの入り口が作られる |
承(応答) | 相手が無意識に誘いに乗る |
転(転換・混乱) | 意図がずれ、感情のぶつかりが起きる |
結(結末・報酬) | 双方が苦い感情を味わい、無意識の脚本が強化される |
各段階を詳しく見てみよう
この「起承転結」の流れは、心理ゲームすべてに共通する「型」です。
起(誘い)
- さりげない言葉や態度が、「心理ゲームに入るきっかけ」になる
- 本人も無自覚であることが多い
【 たとえば 】
- 「どうせ私なんて……」(被害者ポジションの誘い)
- 「そんなの当然できるでしょ?」(迫害者ポジションの誘い)
- 「大丈夫? 私が助けるよ」(救済者ポジションの誘い)
承(応答)
- 相手がその誘いに無意識に「乗ってしまう」段階
- ここで「ゲームの本格的なスタート」が切られる
【 たとえば 】
- 励ましのつもりが、相手に依存させてしまう
- 怒りを向けられて、防衛的に言い返してしまう
転(転換・混乱)
- 期待していたやり取りとは違う方向に進み、感情的な混乱が起こる
- 「なんでこんなことに?」というズレの感覚
【 たとえば 】
- 励ましたのに「わかってない!」と怒られる
- 正論を言ったのに、逆に責められる
結(結末・報酬)
- ゲームの結末で、苦い感情(ラケット感情)を体験する
- 被害者意識、無力感、怒り、孤立感など
【 たとえば 】
- 「やっぱり私はダメだ」という感覚
- 「誰も私をわかってくれない」という孤立感
- 「だから他人は信用できない」という確信

最近のやり取りを起承転結で振り返ってみよう
【 自分への問いかけ 】
- 最近、人との間で「なんでこんなことになったんだろう」と思った場面はありましたか?
- それを、起・承・転・結の4段階に分けて整理してみましょう。
【 ワーク記入例 】
起(誘い) | 承(応じ) | 転(混乱) | 結(報酬) |
---|---|---|---|
もっと手伝ってほしいと思い、「最近疲れてるんだ」と言った | 相手が「頑張ってるよね」とだけ返してきた | 「本当に助けてほしい」という本音が伝わらずイライラした | さみしさと孤立感が残った |
起承転結を意識するだけで、未来は変わる
もしあなたが──
- 「今、誘いを出しているかも」
- 「今、応じようとしているな」
- 「今、混乱が起きかけてる」
と気づけたら──そこで立ち止まることができます。
そして、
- ちょっと違う言葉を選んだり
- 気持ちを素直に伝えたり
- 落ち着いて距離を取ったり
未来の結果を、苦い結末ではない、新しいものに変えていけるのです。

- 心理ゲームは「起(誘い)→承(応答)→転(転換・混乱)→結(結末・報酬)」の流れで進行する
- 起承転結を意識できれば、巻き込まれる前に選び直すことができる
- 小さな気づきが、大きな自由を生み出していく