ここまで学んできたように、心理ゲームに巻き込まれると、怒り、悲しみ、無力感など、苦しい感情を味わうことになります。
では、どうすれば、この無意識のドラマをやさしく終わらせることができるのでしょうか? そのカギは、「言葉の選び方」「伝え方」にあります。
ゲームの言葉 vs. やさしい言葉
心理ゲームの中では、こんな言葉が飛び交いがちです。
- 「どうせあなたはわかってくれない」
- 「なんでそんなこともできないの?」
- 「だからあなたはダメなんだ」
- 「私ばっかり損してる」…
これらはすべて、相手を試す、責める、自分を被害者にするための言葉になりやすいのです。
その代わりに、心理ゲームを終わらせるためには──こんなやさしく、率直な言葉を選びます。
- 「私はこう感じている」
- 「私はこうしたかった」
- 「私はあなたにこうしてもらえたらうれしい」
つまり、「相手を責めずに、自分の気持ちを素直に伝える」ことがポイントです。
たとえば、こんな言い換え
- ゲームを招く言葉:「どうせわかってくれないんでしょ」
- やさしい言葉がけ:「わかってもらえたら、すごくうれしい」
- ゲームを招く言葉:「あなたのせいで失敗した!」
- やさしい言葉がけ:「私はもっと助けがほしかったと感じている」
- ゲームを招く言葉:「なんでちゃんとできないの?」
- やさしい言葉がけ:「こうしてもらえると助かるなと思う」
- ゲームを招く言葉:「また裏切られた」
- やさしい言葉がけ:「私は信じたかったんだ」
もちろん言い換えがすべて上手くいくわけではありません。でも努力は無駄にはきっとなりません。
なぜ、やさしい言葉がゲームを終わらせるのか?
- 相手を攻撃しないので、防衛反応を引き起こさない
- 自分の本音(本当の願い)を素直に伝えることで、誤解が減る
- 対等な関係を保ちながら、つながり直すことができる
やさしい言葉は、「わたしも、あなたも、大切にしたい」というメッセージを伝えます。だから、無意識のゲームの台本を、そっと置くことができるのです。

わたしの「やさしい言葉」を考えてみよう
【 自分への問いかけ 】
- 誰かとのやり取りで「こんなふうに言ってしまった」と思う場面を思い出してみましょう。
- もし、やさしい言葉に言い換えるとしたら、どうなるでしょうか?
【 ワーク記入例 】
出来事 | つい言ってしまった言葉 | 言い換えたやさしい言葉 |
---|---|---|
パートナーに怒ってしまった | 「なんで私ばっかり!」 | 「もっと一緒に支え合えたらうれしいな」 |
最初はぎこちなくても、大丈夫
- はじめは、素直に言葉を選ぶのが難しく感じるかもしれません
- 恥ずかしかったり、抵抗感を覚えるかもしれません
でも「本当の気持ちをやさしく伝える」練習を重ねるごとに、心の対話は変わっていきます。少しずつ少しずつ、自分も相手も大切にできる、新しいコミュニケーションの習慣を育てていきましょう。

- 心理ゲームを終わらせるには、「相手を責めずに本音をやさしく伝える」ことが大切
- やさしい言葉は、防衛や攻撃の連鎖を止め、心のつながりを育てる
- 小さな一言の積み重ねが、大きな変化を生み出す