私たちの心の中には、育ってきた家庭や社会で身につけた、さまざまな「教え」や「ルール」が生きています。それが──親の心(P=Parent)です。
親の心は、子ども時代に周囲の大人(親、先生、社会的権威者など)から影響を受けて形成されます。
- 「こうするべき」
- 「こうしてはいけない」
- 「こうすれば認められる」
こうした言葉や態度が、無意識のうちに内面化され、大人になってからも「自分の内なる声」として働いているのです。
親の心には2つの側面がある
親の心(P)は、大きく2つに分かれます。
批判的な親(CP:Critical Parent)
次の特徴があります。
ポジティブ面:ルールを守る力、社会性、責任感
ネガティブ面:過剰な批判、支配、抑圧
批判力ももち、社会的な正しさを守ろうとします。
でも、ネガティブに出ると、たとえば──
- 「約束は守るべきだ」と自分にも他人にも厳しく求める
- ミスをした人をきつく責める
- 自分自身に対しても「もっとできるはず」と追い詰める
そして
- 自分や他人に厳しすぎて疲れる
- 失敗を許せずストレスを抱える、ということになる場合もあります。
養育的な親(NP:Nurturing Parent)
次の特徴があります。
ポジティブ面:思いやり、支援、励まし、受容
ネガティブ面:保護、過干渉、依存を生みやすい
たとえば──
- 困っている人を自然に助けたくなる
- 落ち込んでいる友人を励まし、支える
- 自分自身にも「大丈夫だよ」とやさしく声をかける
でも
- 他人を支えすぎて自分が疲れてしまう
- 相手の自立を妨げる場合もある、ということになる場合もあります。

自分の中の「親の心」を振り返ろう
【 自分への問いかけ 】
- 最近、「こうすべきだ」と自分や他人に厳しくなった場面はありましたか?(CP)
- 誰かを支えたり、励ましたりした場面はありましたか?(NP)
【 ワーク記入例 】
出来事 | 感情・行動 | 出た親の心(CP/NP) |
---|---|---|
部下のミスにイライラした | 叱責しそうになった | CP(批判的な親) |
友人の相談に乗った | 共感しながら励ました | NP(養育的な親) |

親の心も「バランス」がカギ
- CPもNPも、どちらも本来は「あなた自身や周囲を守るため」に存在します。
- ただし、強すぎたり、偏ったりすると、自分も相手も苦しくなってしまいます。
大切なのは、親の心を否定することではなく、意識して「良いバランスを取る」こと。

- 親の心(P)は、育った環境から内面化された「教え」や「ルール」
- Pには、批判的な親(CP)と養育的な親(NP)の2つの側面がある
- どちらも大切だが、バランスを意識して使いこなしていこう