大人の心(Adult)の力を育てる

私たちの心の中には、親の心(P)や子どもの心(C)とは別に、もう一つのとても大切な部分が存在します。それが、A(Adult)=大人の心です。

大人の心(A)は──

  • 今ここで現実をありのままに受け止め
  • 感情や過去にとらわれず
  • 論理的・合理的に考え
  • 自分で選び、行動できる力、を持っています。

なぜ「大人の心」が大事なのか?

親の心(P)や子どもの心(C)は、それぞれ大切な役割を持っていますが

  • CPは、時に「こうすべき」「ねばならない」と縛りつけ
  • NPは、時に過保護になりすぎ
  • FCは、時に感情に押し流され、反応的になってしまう
  • ACは、自分を抑圧しすぎてしまう

だから、それらに巻き込まれずに
今ここで冷静に考え、柔軟に選び直す「大人の心」が大切なのです。

大人の心が働いているとき、こんな状態になります

たとえば

  • 怒りを感じたけれど、「今は冷静に伝えよう」と考えた
  • 周囲に流されそうになったけど、自分の価値観で選んだ
  • 誰かに責められても、「それはその人の課題」と冷静に距離を取れた
  • 感情的になりそうな場面でも、一呼吸置いて対応できた

逆に、大人の心が弱くなると…

親の心(P)や子どもの心(C)に無自覚に巻き込まれます。

  • 批判的な親(CP)が偏ると → 自分にも他人にも厳しすぎる
  • 養育的な親(NP)が偏ると → 過剰に心配し、過干渉になる
  • 自由な子ども(FC)が偏ると → 衝動的・自己中心的になりやすい
  • 順応する子ども(AC)が偏ると → 自分を抑え込み、無理して合わせる

こうして、バランスが崩れ、生きづらさを感じる状況になります。

大人の心(A)は、すべてをバランスよく見つめる力

  • 「今、私の中でどの心が強くなっているだろう?」
  • 「このまま反応するのではなく、別の選択肢はないかな?」
  • 「相手も自分も尊重しながら、どう対応できるだろう?」

こうした冷静な観察と柔軟な対応を可能にしてくれるのが、大人の心(A)の役割です。

大人の心(A)は、親と子どもの心の声を受け止めつつ、「今の最善」を自由に選び取る力を育ててくれるのです。

今日の「大人の心」をふりかえってみよう

【 自分への問いかけ 】

  • 今日1日で、「感情に飲まれずに冷静に考えられた場面」はありましたか?
  • 逆に、「感情に押し流されてしまった場面」はありましたか?

【 ワーク記入例 】

注意点:大人の心も、バランスが大切

大人の心(A)は──

  • 今ここで現実をありのままに受け止め
  • 感情や過去にとらわれず
  • 論理的・合理的に考え
  • 自分で選び、行動できる力、を持っています。基本的には理想的な心の状態です。

大人の心のマイナス面

でも、マイナス面も現れます。たとえば

  • 感情を抑え込みすぎて、自然な喜びや悲しみを感じにくくなる
  • 他人とのコミュニケーションが事務的・機械的になってしまう
  • 過剰な自己管理・完璧主義に陥り、ストレスを溜める

大切なことは

だから、大切なのは──

  • 冷静に柔軟に判断する大人の心(A)
  • 素直に感じる自由な子どもの心(FC)
  • 協調性する子どもの心(AC)
  • 支え、守ろうとする親の心(NP)
  • ルール、マナーを守る親の心(CP)

これらすべてをバランスよく活かすことです。それを大人の心(A)が可能にします。


  • 大人の心(A)は、今ここで現実を受け止め、理性的に選び行動する力
  • PやCの心の偏りに巻き込まれず、自分を整える役割がある
  • ただし、Aも偏ると、感情抑圧・孤立・過剰な自己管理などの課題が生まれる
  • 大切なのは、大人の心(A)自体と、大人の心(A)によって、親・大人・子どもの心をバランスよく活かすこと