5種類の自我状態‐成り立ちと働き

自我の状態「自我状態」は次の5種類があります。

5つの字が状態図
5つの字が状態図
  • CP:批判的な親の自我状態
  • NP:養育的な親の自我状態
  • A:大人の自我状態
  • FC:自由な子どもの自我状態
  • AC:順応した子どものの自我状態

それぞれの自我状態の成り立ちと働き

5種類の自我状態はそれぞれ次のように形成されて、次のような働きがあります。

親の自我状態

生まれて数ヵ月後から、触れ合う親、大人の言動・態度を見聞きして、いつの間にかそれをとり込んで自分のものにしたのが親の自我です。

親の自我が働いていると親のようなものの見方、言い方、振るまいをします。

CP:批判的な親

社会的な規範・ルールや常識を守り、秩序を維持しようとする働きの自我状態です。

CPが働いているときの言動の例

顔をしかめる 腕組み 指差す 肩をいからせる 腰に手をあてる 鼻で笑う ~は良い・悪い ~しなさい ~するな ~すべき それは正しい・間違ってる 大体お前は 俺の言うとおりにしろ

NP:養育的親

子どもや人、動物、植物を育てる働きの自我状態です。

NPが働いているときの言動の例

慈悲深いまなざし 抱きしめる 優しい笑顔 柔らかな声 大きくうなずく、よかったね かわいそうに 大丈夫? 頑張ったね とても上手になったね、大変だね 任せておきなさい やってあげよう 何か手伝うことはない?

大人の自我状態

人は、2歳頃からさかんに親など周囲の大人の物まねをするようになり、4歳頃に は納得しながら挨拶や手順を覚えるようになります。

成長するにつれて、さらに周囲を 観察して適切な反応はどうかと判断する大人の自我を発達していきます。

そして、大人の自我を一人前に活用できるようになるのは12歳頃と考えられ、それ以降も学問や経験などにより、育て蓄積していくことができます。

A:大人の自我状態

大人の自我にあるときは、状況を判断して言動を選択し、実行しようとします。

大人の自我は、親の自我、子どもの自我を制御し、自己全体をコントロールする働 きであり重要ですので、健全に育て、よく働かせることが大切です。

Aが働いているときの言動の例

背筋が伸びている きびきびした動作 相手をよく見る はっきり落ち着いた声 淡々と話す 注意深く聴く 具体的に言うと~ 例えば~ ~という意味ですか ~によると

子どもの自我状態

子どもの自我は生まれる時点で備えており、成長により発達し変わってきます。

子どもの自我が働いているときは、子どものような振るまいをします。子どものようなとは、単にわがまま放題の子どものようということではありません。

親とどんな触れ合いによって子どもの自我をつくったのか。生まれてから幼少期までが伸び伸びとしたものだったか、抑圧的であったか、子どもの頃に身につけた感情などに基づいた反応、表現、行動の仕方が大人になっても働いて現れます。

FC:自由な子ども

自分のしたいようにする気持ちを優先し、思うままの言動をします。

FCが働いているときの言動の例

大きな動作・声 活発な動き ふざける はしゃぐ 目を見開く よく笑う わぁー キャー ほんとー やったぁー すごい! かっこいい! 好き! 嫌い! ~したーい、したくない ~ほしーい、ほしくない

AC:順応した子ども

自分が人に受け入れられているか、受け入れられるかを気にします。人に合わせます。

ACが働いているときの言動の例

ため息 顔色をうかがう 伏し目がち オドオド・ぼそぼそ ビクつく 背中を丸め つくり笑い ひがむ ふくれっ面 くってかかる プィと横を向く すいません 申し訳ありません ~していいですか もういいです どうせ

練習問題

5歳の子どもと両親が動物園に来ました。①~⑥での母、父、子の言動は5つの自我状態のどの働きでしょう。考えて「CP」など答えをノートに書いてみましょう。

  • CP:批判的な親の自我状態
  • NP:養育的な親の自我状態
  • A:大人の自我状態
  • FC:自由な子どもの自我状態
  • AC:順応した子どものの自我状態
  1. 「はしゃいで人に迷惑かけないようにするのよ!」と言う母
  2. 「ライオン、一緒に行ってあげるから恐くないよ」と言う父
  3. 「昼になると混むから早めにご飯にしよう。ママを呼んできてくれる?」言う父
  4. 「お箸で食べれる? スプーンの方がいいね、ほら」とスプーンを子に渡した母
  5. パンダの前は行列、父親が疲れてそうで、「いいよ、ボク見ないでも」と言う子
  6. 「わーい」と、おみやげ売り場をみつけるなり、かけていった子

※解答は次のページにあります。