― 無意識に選び続けた感情パターンに気づこう
人生脚本を深く理解するうえで、もうひとつ大切な概念があります。それが、ラケット感情です。
ラケット感情はステップ3でもありましたが
ラケット感情とは
子どもの頃に「これを感じるしかない」と学習してしまった無意識の感情パターンです。
本来、私たちには、喜び、怒り、悲しみ、恐れといった自然な感情(本来感情)があります。
しかし
- 家庭の中で感情を抑えられたり
- ある感情だけが受け入れられたり
- 感情表現に制限があったりすると
子どもは、「感じてもいい感情」と「感じてはいけない感情」を学習してしまいます。
そして、本来感じるべきだった感情の代わりに「ラケット感情」と呼ばれる、代用感情を無意識に使うようになるのです。
たとえば、こんなラケット感情
本来の感情 | ラケット感情 | どうすり替わるか |
---|---|---|
怒り | 罪悪感 | 怒ることが許されず、怒りを感じると罪悪感にすり替わる |
悲しみ | 無力感・あきらめ | 本当は悲しいのに、感じきれずに「どうせダメ」と無力感に変わる |
恐れ | 怒り | 本当は怖いのに、怖さを隠して怒りで武装する |
喜び | 不安 | 喜びを感じると「このあと悪いことが起こる」と不安にすり替わる |
ラケット感情は、子ども時代には生き延びるために必要だった防衛反応だったかもしれません。
ラケット感情と人生脚本の関係
人生脚本には、ある種の感情を「選び続けるパターン」が組み込まれています。
たとえば──
- どんなにうまくいっても、なぜか罪悪感を感じる
- 喜びを感じたあと、すぐに不安に襲われる
- 人と親しくなると、なぜか怒りやイライラが出てしまう
これらは、子どもの頃に身につけたラケット感情のパターンが、大人になった今も人生脚本を支配しているサインかもしれません。
【 ポイント 】
無意識に「感じることを許されたラケット感情」を繰り返している限り、人生のパターンもまた、繰り返され続けます。
だからこそ、「ラケット感情に気づき、手放す」ことが、人生脚本を書き換えるカギになるのです。

私のラケット感情に気づいてみる
【 自分への問いかけ 】
- 最近、繰り返し感じているネガティブな感情はありますか?
- それは本当に「今ここ」で自然に湧いた感情でしょうか?
- それとも、子ども時代の癖で感じてしまっている感情かもしれませんか?
【 ワーク記入例 】
最近よく感じる感情 | 本来の感情に置き換えると? | 気づいたこと |
---|---|---|
無力感 | 本当は怒りか悲しみだったかも | 自分を抑えすぎていたと気づいた |
罪悪感 | 本当は正当な怒りだったかも | 自分の権利を守る気持ちを押し込めていた |
不安 | 本当はうれしさだったかも | 幸せを素直に感じることに不安を覚えていた |
完璧な答えを出す必要はありません。
「もしかしてこうかも」という小さな気づきが、未来を変えます。

ラケット感情も、かつての自分を守ったもの
- ラケット感情を持つ自分を責めないでください。
- それは、あなたが「生き抜くために必死で選んだ防衛策」だったのです。
気づいた今、あなたには本来の自然な感情を取り戻す自由があります。

- ラケット感情とは、本来の感情の代わりに無意識に感じてきた感情パターン
- 人生脚本には、ラケット感情を繰り返すパターンが組み込まれている
- ラケット感情に気づき、手放すことで、脚本の書き換えが進む