前のページの代表的な人生脚本で学んだドライバーは、ケーラーとケーパーズ博士が唱えたミニ・スクリプト理論によるものでした。
ミニ・スクリプト理論の次のステップは、好ましくない脚本に気づき、変えていくことに役立ちます。
ミニ・スクリプト理論
好ましくない脚本を演じる時のステップ
次の1から3または1から4の流れになります。
<ステップ1>
私たちは、人生脚本の5つの「ドライバー」の中からいくつかを子どものときに取り入れ、自分の心の命令=脚本として使うようになっている場合があります。
そして、何かをするとき、なじみ深いドライバーにかりたてられて行動します。
【 5つのドライバー 】
- 一所懸命にやれ、もっと努力しろ
- 完全・完璧であれ
- 他人を喜ばせろ
- 強くあれ
- 急げ急げ
例えば「この勉強を『一生懸命にやれば、もっと努力すれば』、私はOKだ」と勉強します。


<ステップ2>
でも、それぞれのドライバーに対応するそれぞれの禁止メッセージが裏でストッパーとして作用して思うように進まなくなります。
1の例の場合なら、ドライバーの「一所懸命にやれ、もっと努力しろ」に対するストッパー、禁止メッセージの「満足するな、楽しむな」が働いて楽しくなくなります。たとえ成果があがっても心からの満足もできなくなります。


<ステップ3>
そして、思うように進まなくなったことで挫折感を持ったり、成果に満足できず、「私はOKではない」という感情(ラケット感情、FMPという)を持ちます。
例の場合なら、勉強が思うように進められなくなった自分を情けなく感じたり、成果が上がってもこれでは自分はだめだと感じたりします。


ラケット感情を持ち味わうと、脚本はさらに強化されいていきます。
<ステップ4>
さらに「私はOKではない」の状態が続き、心の抑圧、行動の制約が続くと、自分以外の人や環境のせいだと考えるようになり、「復讐する子ども=VC」によって反抗的になって、「私はOK、あなたはOKではない」という感情(ラケット感情、FMP)を持ちます。


5つのドライバーと対応するストッパー
次が5つのドライバーにそれぞれ対応するストッパー、禁止メッセージになります。
上がドライバー、矢印の下がストッパー、禁止メッセージです。
一所懸命にやれ、もっと努力しろ
▼
満足するな、楽しむな
- 楽をしてはいけない、満足してはいけない、楽しんではいけない、力を抜いてはいけない
- もっと一所懸命・努力するため、満足を禁止する
完全・完璧であれ
▼
ありのままであるな
- 何もしてはいけない、失敗してはいけない、ありのままではいけない、やり遂げてはいけない、やり終えてはいけない
- 完璧であるために、自然のままでいることを禁止する
人を喜ばせろ
▼
自分の要求は後回しにしろ
- 自分を優先してはいけない、自分の要求を言ってはならない、自分を大切にしてはならない、自分より他者が重要だ
- 他人を優先するために自分のことを考えることを禁止する
強くあれ
▼
感情を表に出すな
- 人に弱点・だめなところを見せてはいけない、感じたとおりを口にしてはいけない、感情を感じてはならない
- 強くみせるために弱みは見せてはならない
急げ急げ
▼
自由であるな
- ゆっくりしてはいけない、味わっていてはいけない、休んではいけない、何もせずにいてはいけない
- 急ぐために、気ままや自由に振るまうことを禁止する

好ましくない脚本を演じる時の流れの1から4を読んで、思い当たることはありますか、考えてみましょう。そして、思ったことや気づいたことをノートに書きましょう。