【動画による講義】
【文字による講義】
瞑想状態以外のやり方は簡易版と同じです。必要だと思う場合は簡易版の講義を見直しましょう。
なお、坐る場所までの歩き、坐っている場所から立つ・歩く動作は、本格版の歩く瞑想や日常の動作への気づきを学んだら、そのやりかたでするのが望しいです。
瞑想状態のやり方
左右揺振が終わったら、簡易版と同じく、まずアーナパーナの基本をしばらくします。慈悲の瞑想をともにする場合はアーナパーナの前にします。
ヴィパッサナー瞑想の本格版の瞑想状態
アーナパーナから離れて、基本の腹部の観察・気づき・ラベリングをはじめます。そして、心身の現象が現れたら、それに気づき・ラベリングします。
基本の腹部の観察・気づき・ラベリングのやりかたは、前ページの講義「坐る瞑想の基本」で学んで練習をしてください。
本格版は気づき続ける
簡易版は、基本の腹部の観察・気づきをしていて、心身の現象が現れたら気づいて、現象の現われが続いていても腹部の観察・気づきに戻りました、本格版はそうではなく、現象が現れている間は、それに気づき続け、ラベリングも続けるのが原則です。
前ページの講義「坐る瞑想の基本」でも説明しましたが
本格版は次のようにします。
- 腹部の膨らみの瞬間に気づき「膨らみ」とラベリング、膨らんでいく過程に気づき続けラベリングも「膨らみ、膨らみ…」と続け、膨らみの終わりに気づきます。
- 間(ま)に気づき、縮みの瞬間に気づき「縮み」とラベリング、縮んでいく過程に気づき続けラベリングも「縮み、縮み…」と続けて、縮みの終わりに気づきます。
- これを基本として繰り返し、そして心身の現象が現れたら、それにその瞬間に気づき・ラベリング、それが現れている間は気づき続けラベリングも続けて、それが消えたら腹部の観察・気づき・ラベリングに戻ります。
瞑想中の気づき・ラベリングのし方
腹部の観察・気づき・ラベリングをしていて、心身の現象が現れたら、客観的に気づくようにしてラベリングをします。
現われが現れている間は、現われの瞬間瞬間に気づくようにしてラベリングをします。現われが現れることがなくなったら腹部の観察・気づき・ラベリングに戻ります。
どんな現象も客観的に、ただ単に心の中に単発に現れてきたことのように扱います。また、ラベリングが機械的にならないように注意しましょう。
例を上げると前ページの「ラベリングのやりかた」の説明と重複しますが次のようにします。
思考や記憶や想像、感情、心の状態
例えば
- 考えが現れたら、すぐ気づき「考え」や「考えている」等とすぐにラベリングして、現れが現れ続けている間は現れの瞬間瞬間に気づき「考え、考え…」や「考えている、考えている…」等とラベリングも続けます。
- 記憶や想像が現れたら、すぐ気づき「記憶」「思い出してい」や「想像」「想像している」等とすぐラベリングして、現れが現れ続けている間は現われの瞬間瞬間に気づき「記憶、記憶…」「思い出している、思い出している…」や「想像、想像…」「想像している、想像している…」等とラベリングも続けます。
- 感情や心の状態が現れたら、現れた瞬間に現われに気づき「好意の感情」や「好ましいと感じている」「怒りの感情」や「怒りを感じている」等とありのままにラベリングし、現れが現れ続けている間はただ瞬間瞬間の現れに気づくようにして、ラベリングも「好意の感情、好意の感情…」「好ましいと感じている、好ましいと感じている…」や『怒りの感情、怒りの感情…」「怒りを感じている、怒りを感じている…」等と続けます。
- 何かははっきりしないけれど心がさまよっているように感じたら、その心に気づき「迷い」や「心がさまよっている」とラベリングし、現れが現れ続けている間は、現れの瞬間瞬間に気づくようにしてラベリングもします。
- 何かを見たくなったり、周りを見たくなったりしたら、その心に気づき「見たいと思っている」「願望」等とラベリングし、現れが現れ続けている間は、現れの瞬間瞬間に気づくようにして気づきラベリングもします。
- 眠気を感じたらすぐ気づき「眠気」「眠たいと思っている」「うとうとしている」等とラベリングし眠気が消えるまでその現れの瞬間瞬間に気づきラベリングを続けます。
- 現われに気づいてラベリングをしていると、現れている思考や記憶や想像、感情や心の状態が変化したり進むときもあります。そのときはそのときで、その現れに気づき、その現れに合った言葉でラベリングをします。
例えば
- ある人の記憶の像が現れて気づき「記憶、記憶…」とラベリングしていて思い出が現れてきたら、それに気づき「思い出…」「思い出している…」等とラベリングします。悲しさが現れたら、それに気づき「悲しく感じている…」「悲しさ…」等とラベリングします。現れが現れている間、気づきラベリングを続けます。
- 退屈した気持ちが現れて気づき「退屈している…」とラベリングして、瞑想を中止したい心が現れたら、それにそのまま気づき「やめたいと思っている…」等とラベリングします。それらの心の現れが現れている間は、その現れをありのままに気づきラベリングを続けます。
- うっかり現れを見逃して自動思考や意図的に思考や記憶や想像、感情や心の状態、感覚を進めてしまうときもあります。そうしたときは、そうしていたと気づいた時点での現れに気づきラベリングし、現れている間は現れの瞬間瞬間に気づきながらラベリングします。
こうして現れが消えたら、腹部の動きの観察・気づき・ラベリングに戻ります。
体の不快や快の感覚
例えば
- カユミや痛みなどの不快な感覚や気持ちがよいなどの快の感覚が現れたら、すぐにその感覚の現れに気づくようにして「かゆみ」「痛み」「気持ちがいいと感じている」等とラベリングし、それらの現れが消えるまで平静にそれらの現れの瞬間瞬間に気づくようにして「かゆみ、かゆみ…」「痛み、痛み…」等とラベリングし続けます。
- 感覚から思いや感情、例えば苦しい、辛い、もっと感じたいなどが現れたら、それはそのまま気づき「苦しいと感じている」「辛いと感じている」「もっと感じたいと思っている」等とラべリングし、それが現れている間は気づき続けラベリングし続けます。
- カユミをかきたい等の心が現れたら、それにそのまま気づき「かきたいと思っている」等とラベリングします。それが現れている間は気づき続けラベリングし続けます。
こうして現れが消えたら、腹部の動きの観察・気づき・ラベリングに戻ります。
なお、できるだけ現れが消えるまで気づきとラベリングをし続けたほうがよいですが、体の感覚については長時間消えない場合、現れはそのままに腹部の動きの観察・ラベリングに戻ってもかまいません。
そして、その体の感覚に気づきつつ、腹部の観察・気づき・ラベリング、他の心身の現象への気づきとラベリングをします。
音やにおい、外部に心が向いたら
- その心の現われにすぐ気づいて「聞いている」や「かいでいる」等とラベリングし、現われが現れ続けている間は現われの瞬間瞬間に気づくようにしてラベリングも続けます。
- もし、音やにおいへの判断や思いが現れたら、そのことにそのまま気づきラベリングし、現われが現れ続けている間は現われの瞬間瞬間に気づくようにしてラベリングも続けます。
例えば、犬の鳴き声だという判断が現れたら「犬の声だと思っている」等、いいにおいという思いが現れたら「いいにおいだと思っている」等とラベリングします。
こうして現れが消えたら、腹部の観察・気づき・ラベリングに戻ります。
全ての現れに共通して
現象を消えるようにとか、もっと強くなるようにと願うことはしないようにします。
もし願ってしまったら、願っている心の現われにすぐ気づき「願望」「期待している」等とラベリングし、願う心の現われが現れ続けている間は現われの瞬間瞬間に気づくようにしラベリングも続けます。現れが消えたら腹部の観察・気づき・ラベリングに戻ります。