ステップ5

ヴィパッサナー簡易版‐坐る瞑想

先に前ページの講義で坐る瞑想の基本を学んで練習します。

【動画による講義】

【文字による講義】

瞑想状態に入る前の左右揺振までと終わりかたは、アーナパーナの坐る瞑想と同じです。

坐りかたはミャンマー人のあぐら、手は法界定印はせず、眼は閉じます。そのほか確認が必要だと思うときは、アーナパーナの坐る瞑想また坐禅の方法【2】の講義を確認してください。

左右揺振の次に、アーナパーナの基本をして心身を静め集中を高めます。アーナパーナもしっかり取り組みたいと思うときや、心をより静める必要が今あると感じるときは長めの時間します。

慈悲の瞑想を一緒にする場合は、アーナパーナの前にします。

そして、アーナパーナから離れて、ヴィパッサナー瞑想の坐る瞑想の瞑想状態に入ります。

ヴィパッサナーの坐る瞑想の瞑想状態

ヴィパッサナー瞑想の坐る瞑想の基本の腹部の観察・気づきをはじめます。

ヴィパッサナー瞑想の簡易版の坐る瞑想は、基本の腹部の観察・気づきをしていて、心身の現象が現れたらそれにすぐに気づき、そして、基本の腹部の観察・気づきにゆっくりと戻ります。それを繰り返します。

集中のサマタ瞑想との違い

電車のホームにいると例えて、ベンチに座って腹部の観察・気づきをしていて、ホームに入って来る電車を心や体の現象とすると、ホームに電車が現れたとき

  • サマタ瞑想なら、電車の現れに関わることなく無視して腹部の観察・気づきへの注力・集中を続けます。
  • ヴィパッサナー瞑想は、電車が入ってきたらすぐに電車に気づきます。そして、簡易版は気づいてからゆっくりと腹部の観察・気づきに戻ります。電車が現れるたびにそうします。

簡易版の腹部の動き以外の現象への対処

前ページの講義「ヴィパッサナー‐簡易版での気づき方」とともに、瞑想中は次のようにします。

思考や記憶、感情、心の状態が現れたら

現れた瞬間に気づくようにして、それに関する思考や記憶や感情を展開させようとすることなく、現れたままを気づくようにして、そして、ゆっくりと腹部の観察・気づきに戻ります。

例えば、あることの記憶が現れたら、すぐにその現れをそのままに気づいて、それから腹部の観察・気づきに戻ります。

例えば、途中で瞑想をやめたいという思いや周囲が気になる気持ちが現れたら、すぐにその気持ちが現れたと気づき、腹部の観察・気づきに戻ります。

そして、腹部の観察・気づきに戻っても現れが続いている場合や、記憶や思考や感情が進んだりした場合は、その現れにまた同じようにします。こうしていると同様のことに気づいていることが続くことになりますが、もし長く続く場合は、意図的に腹部の観察・気づきだけをしばらくして、その持続から離れてから、また他のことへの気づきをするようにしても良いです。

また、考えごとをしてしまうこともあるものです。そのときは、そうしていたと気づいた時点で、そうしていたと気づいて、腹部の観察・気づきに戻ります。

体の不快や快の感覚が現れたら

体のカユミや痛みやうずきなどの不快、快の感覚の現れは、現れたら現れたまますぐ気づき、腹部の観察・気づきに戻ります。

なお、体の感覚の現れはなかなかなくならない場合が多いですが、その場合は現れるままにして、腹部の観察・気づき、その他の現象の気づきをするようにしてかまいません。

気づきの力が高くなってくると、体の現象に気づきながら同時に他の現象の現れへの気づきもできるようになります。

音やにおい、外部に心が向いたら

心が向いていると気づき、腹部の観察・気づきに戻ります。

何の音か、においか等、外部について追究することはしないようにしますが、追究しようとする心が現れたら、その心の現れに気づき、腹部の観察・気づきに戻ります。

また、認識や判断が現れていたら、それが現れていると気づき、腹部の観察・気づきに戻ります。

全ての現れに共通して

ヴィパッサナー瞑想の簡易版の坐る瞑想ですることは、腹部の観察・気づきをしていて心身の現象が現れるたびにそれにただ客観的に気づき、そして、ゆっくりと腹部の観察・気づきに戻ることです。

ヴィパッサナー瞑想は潜在していたことも浮き上がってくるので、普段やサマタ瞑想をしているときより様々な記憶や思考、感情、心の状態、感覚が現れてきます。そういうものと理解して取組みましょう。また何が現れても肯定的にも否定的にも思わないようにします。

強い後悔などになっていることがあり、そのことが心に浮かんでくると、腹部の観察・気づきに戻ろうとしても、それ現れのほうが強くて戻れず、現れへの気づきを続けることになる場合もあります。

また、心地よさを感じる状態やステップ2の講義の魔境で説明したようなことが現れてくる場合もあります。

そういうとき、現象の現れを消えるようにや現れるようにと願うことはしないようにします。自然に現われてくることを客観的に気づくようにします。でも、もし願ってしまっていたら願っている心が現れていると気づくようにします。

なお、心や体が不調になるようであったら、サポート指導で報告して相談してください。