ヴィパッサナー瞑想の坐る瞑想は、このステップ5の簡易版でも、ステップ6からの本格版でも、瞑想中、同じことを基本とします。ですからまず、その基本の理解と練習をしましょう。
【動画による講義】
【文字による講義】
腹部の観察・気づきを基本として瞑想の支え・錨とします。
そして、現れてきた心身の現象に気づきます。
- 腹式呼吸で静かに呼吸します。数息観などはしません。
- 心の眼で腹部の中を観るようにして、息をするたびに膨らむ腹部、縮む腹部に気づきます。腹部の動きのプロセスにしっかりと気づきます。
このことを次のようにします。
普段の姿勢のままでよいので幾度か練習してください。目を開けてしてみてやりかたを理解したら、次は目を閉じて練習します。
- 腹部の膨(ふく)らみが始まったら、瞬間に気づくようにして、それから膨らんでいく過程にずっと気づき続け、膨らみの終わりまで気づきます。
- 腹部の縮みが始まるまでの「間(ま)」に気づくようにします。
- 腹部の縮みが始まったら、瞬間に気づくようにして、それから縮んでいく過程にずっと気づき続け、縮みの終わりまで気づきます。
- 膨らみがが始まるまでの「間(ま)」に気づくようにします。
- この繰り返しを基本とします。
当初は腹部の動きがわかりにくいかもしれません。だんだん気づけるようになりますが、腹式呼吸がしっかりできていると気づきやすくなります。もし必要があると思ったら、ステップ2の腹式呼吸の練習をまたしてみましょう。
そして、この呼吸にともなう腹部の動きへの気づきを瞑想全体の錨(いかり)役として、心身に現れる現象に気づくことをしていきます。
腹部の動きを気づくことも、気づきの力を養うため、ありまま正しく気づく大事な取組みです。
サマタ瞑想との違いに注意
腹部に注意を向けて腹部の動きにだけ集中をしてしまうと集中の瞑想のサマタ瞑想になります。
ヴィパッサナー瞑想は、腹部に意識を向けて呼吸にともなう腹部の動きに気づくことをしていて、他の心身の現象が現われたらそれに気づくことをします。
この基本を練習をするときは、腹部の観察・気づきだけをすればよいですが、そうではないときは気をつけてください。