ステップ3

参考:カシナ瞑想とは

カシナ瞑想は、初期仏教(上座部仏教)に伝わる集中瞑想(サマタ瞑想)の一種で、心を一点に集中させ、深い安定(定)を得るための技法です。

パーリ語の「kasiṇa(カシナ)」は「全体」「完全な対象」といった意味があり、視覚的な対象を用いて心を一点に集中させるのが特徴です。

カシナ瞑想の基本的な考え方

心を一つの対象にしっかり集中させることで、五蓋(ごがい)(欲・怒り・眠気・落ち着きのなさ・疑い)を乗り越え、初禅から四禅へと進むことを目指します。

カシナは「外部の視覚的対象を使って、心を穏やかに統一していく」方法です。

10種類のカシナ瞑想の対象(伝統的分類)

  1. 地カシナ(赤土や粘土など)
  2. 水カシナ
  3. 火カシナ
  4. 風カシナ
  5. 青カシナ
  6. 黄カシナ
  7. 赤カシナ
  8. 白カシナ
  9. 空カシナ(空間の無限性)
  10. 光カシナ(明るさや光の円)

カシナ瞑想の実践ステップ(例:地カシナ)

  1. 対象の準備
    例えば赤土を直径30cmほどの円形にして平らに整え、明るい場所に置く。
  2. 凝視する
    対象のカシナを視覚的に見つめながら集中。目を閉じたときにもそのイメージが心に浮かぶようになるまで続ける。
  3. 心象(ニミッタ)の出現
    対象を見ているうちに、心に「心象(パーリ語:ニミッタ)」が現れます。これを「初期ニミッタ(粗いイメージ)」から「発展ニミッタ(精妙なイメージ)」へと進める。
  4. 内観に移る
    物理的対象を見ることをやめて、心に浮かぶニミッタに集中を続ける。
  5. 禅定に入る
    発展ニミッタに完全に心が安定すると、初禅、二禅…と段階的に深い定に入っていく。

カシナ瞑想の目的と効果

  • 深い集中力(定力)の育成
  • 五蓋を超え、心の清らかさを体験
  • 慈悲の瞑想や智慧の瞑想(ヴィパッサナー)の基盤づくり
  • 四禅を得るための有力な手段

補足:現代では…

現代の一般的な瞑想ではあまり使われませんが、上座部仏教の伝統修行道場(ミャンマーやスリランカ、タイ)では今も修行者に用いられることがあります。