八正道の「戒」の項目の取組み・実践をスタートしましょう。
戒の項目は、前ページの講義で紹介しましたが、この講座での実践は次のようにしましょう。
【動画による講義】
【文字による講義】
この講義でスタートすることは、日常の心構え・在り方として重要です。
瞑想がスムーズに取組めるようになり効果が正しい方向で出るようになる、瞑想の取組みの成功の土台としても重要です。心がけていきましょう。
まず、日常生活をおくる上で、前ページの講義で学んだ八正道全体を意識しましょう。

八正道は合計8つの項目のセットで、全体として人として変容、人格の向上をするものです。そして、全体の土台、家を建てる基礎のように、「戒(かい)」の項目は大事です。
十善戒(じゅうぜんかい)を守る
日常生活での心構え、心がけや在り方、言動に気をつけて良くするようにする『戒」の3項目は、職業・仕事の選択の正命以外は、一般の人は、次の『十善戒(じゅうぜんかい)』の十項目を守るようにして暮らすとよいです。
身業(行動について)
- 不殺生(ふせっしょう)故意に生き物を殺さない。
- 不偸盗(ふちゅうとう)与えられていないものを自分のものとしない。
- 不邪淫(ふじゃいん)不道徳、よこしまな性的関係は持たない。
口業(発言について)
- 不妄語(ふもうご)嘘、偽りを言わない。みだりに飾ってでまかせを言わない。
- 不綺語(ふきご)無意味・無駄なおしゃべりをしない。
- 不悪口(ふあっく)乱暴・粗野な言葉づかいはしない。
- 不両舌(ふりょうぜつ)人を仲たがいさせるようなことは言わない。
意業(思考について)
- 不慳貪(ふけんどん)過剰な欲はいだかない。
- 不瞋恚(ふしんに)憎しみ、怒り、排他的な思いは持たない。
- 不邪見(ふじゃけん)因果を無視した誤った考えは持たない。
「戒」以外、正思惟も心がける
そして、正思惟(しょうしゆい)は、戒ではなく慧の項目ですが、正しい思考、考え方を持っているようになることですから、日常的に心がけるようにします。
- 無害思惟:他者、生きもの、自然を害さない、苦しめない、排除する攻撃的な心を持たない、生きとし生けるものを苦しみから救おうというの悲の心、生きとし生けるものの幸せを願う慈の心を持つ。
- 無瞋思惟:自分の心に逆らうもの、厳密に言うと不快に思うことも含み、そういうものを憎み怒る心を持たない、様々な悪い面から見ない。
- 出離思惟:世俗的な快楽・欲から離れる、過剰な欲を持たない。
少欲・知足で暮らす
欲に関しては次の心がけをします。
欲が多すぎれば心は落ち着きません。迷いや不満、イラダチなども生まれやすくなります。
欲が少なくて、今、現在、足りていると生きれば心は穏やかで幸多く生きることができます。過剰な欲、よこしまな欲、執着の欲は身を滅ぼしもします。
少欲とは
五根の小欲に努めます。
五根(ごこん)とは眼(げん)根、耳(に)根、鼻(び)根、舌(ぜつ)根、身(しん)根の五つの感覚器官の働きのことで、この各感覚器官での欲を少なくするよう努めます。
- 眼で見る欲を少なくする
- 耳で聞く欲を少なくする
- 鼻で香りをかぐ欲を少なくする
- 舌で味を感じる欲を少なくする
- 体に快楽を求める欲を少なくする
心を安定させることは刺激が多いほど難しくなり、刺激が少ないほうが簡単になります。
私たちは五根の「眼、耳、鼻、舌、身」と意(思い)の6つから刺激を受けて生きています。この6つへの刺激を少なくすると心は安定しやすくなります。できるだけ刺激の少ない暮らしをしましょう。
知足とは
少欲はまだ得られていないものを欲しないことですが、「知足(ちそく)」=足るを知るは、不足を思うのではなく、すでに足りていると知り満足をすることです。
今あるもの、今の状態に良さ、幸せを見い出して有難いと感じる心です。
「戒」以外、正精進も心がけましょう
さらに、定の項目の正精進(しょうしょうじん)は、日常の正しい努力を心を励まし努めることですから、これも心がけて暮らすことをスタートしましょう。
- まだ生じない(していない)悪を生じない(しない)ように努める。
- すでに生じた(してしまった)悪は断(しないよう)に努める
- まだ生じない(していない)善を生起(するよう)に努める
- すでに生じた(した)善の維持(をしていくよう)に努める