【動画による講義】
【文字による講義】
ステップ1の講義の瞑想の種類で学んだことも復習しながら説明します。
ヴィパッサナーは観察すること、正しく理解すること、悟ることを意味し、ヴィパッサナー瞑想は気づきの瞑想、洞察の瞑想、智慧の瞑想です。
オープン・モニタリング型という瞑想で、サマタ瞑想のように一つのもの、一つのことにずっと集中を続けることはせず、現れてくる自分の心と体の現象を、ただただ現れたありのままに気づくことに取組み続ける瞑想です。心の現象であれ体の挙動であれ、それが生じたら生じたままに観察します。
なお、観察とは分析や評価判断をすることではありません。ただ、ありのままを気づくだけです。
呼吸に関して
ヴィパッサナー瞑想は、サマタ瞑想と違って呼吸に注力・集中し続けることはありません。
例えば、呼吸への気づきを瞑想全体の基本にしつつ、思考や記憶、感情、心の状態、体の感覚が現れれば、すぐそれに気づくようにします。
呼吸への気づきも含み、今この瞬間この瞬間の自分の心と体の現象に、ただただありのままに気づくことが大事です。
目的・効果
ヴィパッサナー瞑想は、集中の力はサマタ瞑想の「今ここに集中」とは違う瞬間瞬間の集中の力「瞬間定」が開発されます。
気づきの力・メタ認知力「客観的に自分をありのまま正しく気づく、自分の心と体の現象が現れていると気づく力と習性」が開発されます。
そして、脳の部位・構造・回路の変化が起きます。記憶、心の浄化が起きます。
対象・現象をプロセス、因果としてとらえられるようになります。また、心身の機能の真理や無常、苦、非我・無我などの悟り・智慧を会得します。
ヴィパッサナー瞑想は瞑想をしていないときにも、瞑想で得られるメタ認知力、心・脳の癒し・変化・浄化、智慧の効果で常に生きられるようになれます。日常の習慣・ありかたが変わります。
ヴィパッサナー瞑想の利益は日常・生涯にわたります。そうして苦悩することから解放され、いつも平安にいられる人になります。
天台小止観に学ぶ
仏教の瞑想の古典的な名著『天台小止観(てんだいしょうしかん)』に、止はサマタ瞑想、観はヴィパッサナー瞑想としてこう書かれています。
これも参考に観=ヴィパッサナー瞑想を理解しましょう。
涅槃(さとり)の世界は、そこに入るためには種々のみちがあるけれども、そのなかでも最も効果的で肝要なものはなにかといえば、止と観の二法に勝るものはない。
なぜかといえば、止は、まよいへのとらわれをおさえつける第一歩であり、観は、まよいそのものを断ちきる力であるからである。
また、止は、人の心識(こころ)を愛養するためのよきたすけ、観はものごとの正しい理解を発(おこ)すための妙術である。止は、禅定を得るためのすぐれた因となり、観は正しい智慧を発するよりどころだからである。
もしこの禅定と智慧の二法をなしとければ、自分を利益し、他の人々のためにもなる生活態度がおのずからその人に身に備わって来ることになる。わたし
ヴィパッサナーは観察すること、正しく理解すること、悟ることを意味し、ヴィパッサナー瞑想は気づきの瞑想、洞察の瞑想、智慧の瞑想です。