ステップ3

アーナパーナとは

【動画による講義】

【文字による講義】

アーナパーナは、サマタ瞑想の40種類の中にあり、アーナパーナは現存する最も古い仏典が書かれたパーリ語で「呼吸」のこと。

呼吸により生命エネルギーが体に入ってくる「アーナ」と、いらなくなった生命エネルギーが体から出て行く「アパーナ」が合わさった言葉です。

仏教の瞑想の集中の瞑想のサマタ瞑想と気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想には古くからの2つの重要な経典があります。

アーナパーナサティ・スートラ

漢訳では安般守意経(あんぱんしゅいきょう)と言い、出息入息による気づきの経典で、16段階で呼吸集中のサマタ瞑想から気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想までの経典と言われています。

マハーサティパッターナ・スートラ

漢訳では大念処経または大念住経と言い、大いなる気づきを確立する方法の経典で、気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想のことが記されています。

この講座のアーナパーナは呼吸集中

この講座では、アーナパーナサティ・スートラの16段階のうち心身を静める、集中を高める、今ここにいられる取組みの部分から、アーナパーナを呼吸に集中するサマタ瞑想として活かします。

アーナパーナサティ・スートラは気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想まで段階的に含んでいると考えられていて、タイの上座部仏教などではヴィパッサナー瞑想に関する部分までこの経典中心のことが多いですが、アーナパーナはサマタ瞑想として習得します。

この講座で「アーナパーナ」という場合は、呼吸集中および呼吸による集中の瞑想だと思ってください。なお、これは一般的にもそうです。

ヴィパッサナー瞑想は

なお、この講座では、次のステップから取組む気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想は、スリランカやミャンマーなどの上座部仏教がそうなように『マハーサティパッターナ・スートラ:大念処経または大念住経』にそったものとして習得します。

それは、ブッダの遺言を前の講義で紹介しましたが、遺言からすればヴィパッサナー瞑想は大念処経のほうがよりふさわしいと考えられるからです。

呼吸による集中の瞑想は瞑想の基盤

アーナパーナサティ・スートラは計16段階、4段階ずつ4つのパートになっていて、最初のパートは呼吸を把握して、心身を静めリラックスし集中することになっています。

また、気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想のためのマハーサティパッターナ・スートラの冒頭にもこれが記されているので、呼吸による集中のアーナパーナは、仏教の瞑想全体の基盤です。

最初のパートは次の4つです。

  1. 息を長く吸っているときには、「息を長く吸う」と知り、息を長く吐いているときには、「息を長く吐く」と知る。
  1. 息を短く吸っているときには、「息を短く吸う」と知り、息を短く吐いているときには、「息を短く吐く」と知る。
  1. 「全身を感じながら息を吸おう、全身を感じながら息を吐こう」と訓練する。
  1. 「全身を静めながら息を吸おう、全身を静めながら息を吐こう」と訓練する。

『呼吸による癒し』(ラリー・ローゼンバーグ著)より引用

これは自分の呼吸をしっかりと把握し続ることを示していて、この講座はアーナパーナをこのこととして活用します。呼吸を把握して、心身を静めリラックスして、集中することとして活用します。

アーナパーナの習得の目的・メリット

呼吸瞑想はデタッチメント「世界と自分を切り離す」効果があると言われています。

呼吸集中のアーナパーナによって深いリラックス・集中状態にすぐになれて、集中の瞑想とそれ以外の瞑想方法もしっかりとできるようになれます。

また日常生活でも技術として活かして、心身のリラックスや思考から離れること、集中することなどができるようになれます。

 アーナパーナによって例えば

  • 心のざわつきを止めて、心身を静める、リラックスする、集中できるようになれます。
  • 脳の自動操縦に巻き込まれること、脳の自動操縦を停止できます。
  • そうして「今ここ」にいられるようになれます。
  • 上記の状態になっての見る聞く感じる体験をしたり、力を発揮することが可能になります。

鳥の翼の片方として

そして、鳥の両翼のもう片方の翼の気づきの瞑想・ヴィパッサナー瞑想にとって、力の開発の土台になります。また、効果的な状態をつくることが可能になります。

瞑想は流行してはいますが、あまり効果を得られない人、好ましくない状況にいることになってしまっている人も少なくありません。その原因のひとつに、呼吸による集中の瞑想をあまり取組んでいない、きちんとできるようになれていないことがあります。