心身の現象と、ヴィパッサナー瞑想の気づきの関係の理解はステップ5でも学びましたが大事です。
気づきが心の現象の連続を止める
無意識に頭や心に現れる思考や記憶や想像、感情、心の状態、体に現れるカユミや痛みや快感などの感覚の現象は、瞬間瞬間の単発のもので、パッと現れては消えています。
【例】
bさんの姿が頭に浮かんだとします。浮かんだ瞬間の現われは単発の現象B1です。
現象B1 bさんの姿
引き続きbさんの姿が浮かんでいるなら
現象B1 bさんの姿
↓
(脳の自動操縦、意図的思考)
↓
現象B2 bさんの姿
↓
(脳の自動操縦、意図的思考)
↓
現象B3 bさんの姿
↓
(脳の自動操縦、意図的思考)
↓
B2はB1からの脳の自動操縦の自動反応や自動思考、意図的な思考によって現れ、B3はB2からの脳の自動操縦の自動反応や自動思考、意図的な思考で現れたものです。
では、この流れに「気づき」が入るとどうなるでしょう。
例えば、次の流れのようにB2に「気づき」がしっかり入ると、そこで脳の自動操縦の自動反応や自動思考、意図的な思考が途切れます。そのためB3は現れなくなります。bさんの姿だとしたら、ここでbさんの姿は現れなくなります。
現象B1 bさんの姿
↓
(脳の自動操縦、意図的思考)
↓
現象B2 bさんの姿 ← 気づき
↓(脳の自動操縦、意図的思考)
↓現象B3 bさんの姿
【例】
足に痛みを感じたとします。現れた瞬間の痛みの感覚の認識の現われは現象C1です。
現象C1 足の痛み
引き続き感じる痛みは、同じ現象C1ではなくC2によって、C2ではなくC3によってです。脳の自動操縦が同じ現象のようにとらえて同じように痛みと認識しています。
現象C1
↓
(脳の自動操縦)→ 痛み
↓
現象C2
↓
(脳の自動操縦)→ 痛み
↓
現象C3
↓
(脳の自動操縦)→ 痛み
↓
そして苦しい、辛いなどの思いや感情にもなります。
では、この流れに「気づき」が入るとどうなるでしょう。
気づきの力が強くなり微細に現象に気づけるようになってくると、C1、C2、C3の痛みの現われを別のものだと認識できるようになります。また痛みの現われと認識している部位が現れごとに変わることなどがわかります。
そして「気づき」が繰り返されたり、どこかのタイミングにしっかりとした「気づき」があると、痛みという認識の現われが消えることにもなります。
現象C1
↓
(自動反応・自動思考)→ 痛み
↓
現象C2
↓
(自動反応・自動思考)→ 痛み ← 気づき
↓現象C3
↓
(自動反応・自動思考)→ 痛み
↓
現象としての現れはあるが痛みと感じることが減少したり無くなったりします。
私の場合は、ミャンマーで修行をはじめて7日目に、以前、ステロイド注射をしておさまっていた左肩から左の肘までの激痛がまた現れるようになり、その痛みの現れを一日中、来る日も来る日もずっと気づき続けることに取組むことになりました。
3週間、激痛を耐えて気づき続けましたが、そのおかげでいっそう気づきの力は開発されてひじょうに強くなり、3週間目のある瞬間に気づいた瞬間から全く痛みと感じなくなりました。それ以降、ずっとそれですむようになっています。
気づき力の強さと現象の消滅の早さ強さ
ヴィパッサナー瞑想の取組みを毎日繰り返していくと気づきの力が強くなってきます。
気づきの力が強くなると、気づけるタイミングが現象が最初に現れる瞬間にどんどん近くなり、また気づく力がビームのように強くなります。そうなると展開の手前手前で現象の現れが消えます、現れなくなります。
例えば、繰り返し、bさんの姿が思い浮かぶ=B1、それに続いてB2、B3、B4、B5とマイナスの思考や感情をつなげていたとしたら、B3までB2まで、B1だけというように手前になります。さらにbさんのことが思い浮かぶこと自体がなくなるようになります。
気づきだけで起きる癒し
痛みも、痛みの感覚が現れた瞬間=C1に気づき、C1だけでもう痛みが現れなくなり消えてしまうようになったりします。例えば坐る瞑想で足が痛いと瞬間に気づき、痛みがなくなったりします。
また、例えば知り返し頭に浮かんできて悩み続けていたことを、浮かんできたと気づいていると悩むことを停止できます。そして停止を繰り返していると自動操縦の脳の回路が変わってきて、浮かんできても悩むことにつながらなくなったり、浮かんでくること自体がなくなるようになります。
ネガティブな思考や感情の癒しは、どうしてとか、どうしたらと思い悩む必要はなく、浮かんできたと気づくだけの受容で思い悩まなくてすむようになります。浮かんでこなくもなります。
気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想の気づきは、心身の現象から心を守り、心身の癒しや心を浄化することのできる力です。
気づきから起きる悟りや智慧
そして、気づきの瞑想のヴィパッサナー瞑想によって心身の現象に繰り返し気づくことから、脳も変化して、心身の機能などの法則の気づき、悟り、ものごとすべての法則などの悟りや智慧を洞察として得ることも起きてきます。