ステップ6

ヴィパッサナー本格版‐やり方の特徴

【動画による講義】

【文字による講義】

本格版は、気づきの力、メタ認知力の開発のため、脳の回路の変容・浄化をいっそう進めるため、智慧を得る可能性を高めるために、気づきのしかたをより緻密で強くするやりかたにします。

 特徴は3点あります。

  • 自分の心身の現象をラベリングする
  • 現れた心身の現象が現れている間は気づき・ラベリングを続ける
  • ひじょうにゆっくりと動作

自分の心身の現象をラベリング

ヴィパッサナー瞑想は自分の心と体の現象に気づく取組みです。そして「ラベリング」は体の動き、感覚、記憶や思考、心の状態が現れたら、現れたそのときそのときに現れを客観的に気づき、心の中で客観的な言葉にします。メタ認知=自分を客観的に認知・自覚します。

ラベリングという単語は、一般的にはラベル、レッテルを貼る、評価を表わすという意味がありますが、ヴィパッサナー瞑想のラベリングはそういうことではありません。心と体の現象、心身の現象を色をつけずに、ただ客観的に平静に言葉にするだけです。

自分の心と体の現象を、現れたら単なる単発の出来事として客観的に表わす言葉をそえます。例えば、考えが頭に浮かんできたら「考え」「考えている」とラべリングします。

なぜ、ラベリングをするのか

「心身の現象が現れたらラベリングをする」という意識・行為が、ラベリングをしないよりも自分の心・体に対して意識的にならせ注意力を高め、その瞬間瞬間に対する気づきの確実性を高めます。また、心が対象に正確に焦点を当て、ぶれないための助けになります。

なぜ、簡易版ではしなかったのか

人間は心の中や口に出した自分の言葉に影響されます。例えば、坐禅やアーナパーナの坐る瞑想のリラックス・集中を高めるための方法は言葉を使い、そういう効果を得られるものですし、日常の禅的な歩きかたも言葉を添えることで足の動きに注力するようになります。

いっぽうヴィパッサナー瞑想は、自分に現れた心身の現象をありのまま気づき続けるものです。自分の言葉によって心身の現象が影響を受けてしまうとそうではなくなってしまいます。言葉に影響されにくい・されない気づきの力を持つ必要があります。

そこでこのプログラムでは、簡易版で、心身の現象の現われを現れた瞬間に気づく力と、その瞬間的な集中の瞬間定の力を養うことをしました。注意点で「現れたら、その瞬間に気づく」「現れている瞬間瞬間に気づく」として、現れているとき・いないときの区別もするようにしました。

このプログラムを受講してきたあなたは、そうして心身の現象が「現れたら気づく」力を高めたので、ラベリングをしても、その言葉に影響された現象を気づくことや言葉によって影響を受けることが低くなっていて、正しいラベリングができ高い効果を得られます。

気づき・ラベリングを続ける

本格版は、現れた心身の現象が現れている間は気づき・ラベリングを続けます。

例えば坐る瞑想で、腹部の動きの観察・気づきを基本として、他に心身の現象が現れたら、簡易版は即座に気づき、そして基本に戻るようにしました。本格版はそうではなく、現れた現象が現れている間は基本に戻らずに、現れている現象に気づき・ラベリングをします。

簡易版は、心身の現象が現れた瞬間に気づく瞬間定の集中の力と気づきの力・習性を養いました。本格版はこのようにして、それに加えて、心身の現象が現れている間の瞬間瞬間に気づける力・習性を養います。

ひじょうにゆっくりと動作

坐る瞑想以外、歩く瞑想、日常の動作への気づき、食べる瞑想といった動きに関する瞑想は、本格版はひじょうにゆっくりとします。

コマは速く回転していると模様は観えません。回転が遅くなってくるにつれて模様が観えるようになってきます。遅ければ遅いほどはっきりと観えるようになります。

このように、通常のスピードでは気づくことのできないことが、ひじょうにゆっくりと動くことによって気づけます。

ひじょうにゆっくりと動いて、細かい細かい時間、瞬間瞬間・瞬間瞬間の心身の現象を気づくようにします。動作を動画を超低速で観るようなスピードでしながら、注意を向けて気づくようにします。

例えば、歩く瞑想なら1歩に1分以上かけるほどゆっくり動くこともしてよいことです。したほうがよいことです。

ひじょうにゆっくりと動いて微細なことに気づく繰り返しをすることでつく気づきの力によって、日常の通常の暮らしのスピードの瞬間瞬間に気づけるようになります。