レベル3に1週間以上は取組んだら、レベル4に取組みはじめましょう。
レベル4は今までのラベリングのしかたとは違うタイプのやりかたが入り、さらに細かな心に気づくやりかたになり、瞬間定の集中の力、気づきの力がひじょうに高くなります。そして、心と体の関係の智慧、縁起や非我・無我の智慧などを悟る可能性も高くなります。
私もミャンマーで修行中、サヤドー(長老)に瞑想時の報告をして、「それは無我の境地にいたのだよ」と言われたり、ヴィパッサナー智を悟りを得たのは、この歩く瞑想中でした。
一度の歩く瞑想で、レベル1をしてレベル2、その後にレベル3ではなくてレベル4をします。時間は任意ですが、低いレベルより高いレベルを長めに、レベル4を一番長い時間します。合計1時間する場合は、レベル1を10分、レベル2を20分、そしてレベル4を30分します。
【動画による講義】
【文字による講義】
レベル4の重要ポイント
全体のやりかたの説明の前に、レベル3と変わる点を説明します。
意図する心への気づきとラべリング
レベル3に加えて「〇〇したい、しよう」という意図する心に気づいてラベリングします。気づきとラベリングがさらに増えるので、いっそうゆっくりゆっくりと歩む必要があります。
レベル3の足を持ち上げている、進めている、下ろしている、ふれている、押しているに、次の4つの意図する心への気づきとラベリングを加えます。
- 足を持ちあげはじめる前にある、足を持ち上げたいと意図する心
- 足を進めはじめる前にある、足を進めたいと意図する心
- 足を下ろはじめる前にある、足を下ろしたいと意図する心
- 方向転換をしはじめる前にある、向きを変えたいと意図する心
気づきの力が高くなるまでのやりかた
しかし、意図する心、「〇〇したい」という心の現れは気づきの力が高くなるまでは気づけないものです。そのため気づくようになるまでは、その心が現れるはずのタイミングに気づき「〇〇したい」とラベリングをするようにします。
ラベリングは現れた現象に気づいて、することが原則ですが、心の現われに気づけていなくても、気づきの力を開発する訓練のために、そのタイミングに意識的にラベリングするようにします。
- 足を持ち上げる寸前、持ちあげたい心が現われてるはずのタイミングにピタリと合わせて「持ち上げたい」とラベリング
- 足を進めはじめる寸前、進めたい心が現われてるはずのタイミングにピタリと合わせて「進めたい」とラベリング
- 足を下ろしはじめる寸前、下ろしたい心が現われてるはずのタイミングにピタリと合わせて「下ろしたい」とラベリング
- 方向転換では、向きを変えはじめる寸前に、向きを変えたい心が現われているはずのタイミングにピタリと合わせて「向きを変えたい」とラベリング
全体のやりかた
レベル4の重要ポイントを加えた、レベル4全体の動作とラベリングは、レベル3までのやり方と合わせて次になります。
足を上げていくときカカトから上げること、上げた足は床に水平にすること、下ろす足の裏全体が床につくまでもう片方の足はあげないこと、足を下ろす位置などはレベル3までと同じです。
歩みの進めかた
歩く瞑想をするように両足をそろえて立ちます。
- 持ち上げる足に注意を向け、持ち上げる寸前にピタリと合わせて「持ち上げたい」とラベリングします。そして、足が持ち上がり
- 持ち上げている足、足の動きに細かく細かく気づきつつ「持ち上げている、持ち上げている…」とラベリングしながら足を持ち上げていきます。
- 持ち上げた足に注意を向け、進めはじめる寸前にピタリと合わせて「進めたい」とラベリングします。そして、足が進みはじめ
- 進んでいる足、足の動きに細かく細かく気づきつつ「進めている、進めている…」とラベリングしながら足を進めていきます。
- 下ろす足に注意を向けて、下ろしはじめる寸前にピタリと合わせて「下ろしたい」とラベリングします。そして、足が下りはじめ
- 下ろしている足、足の動きに細かく細かく気づきつつ「下ろしている、下ろしている…」とラベリングしながら足を下ろしていきます。
- 足が床にふれるとき、ふれていく足に細かく細かく気づきながら「ふれている、ふれている…」とラベリングします。
- 足の裏が床について足が床を押すとき、押していく足に細かく細かく気づきながら「押している、押している…」とラベリングします。
- これを繰り返します。
方向転換のしかた
動画講義には「方向転換」は含まれていません。ご了承ください。
- 方向転換をする位置まできたら両足をそろえて立ち止まります。
- 立っている足に気づきながら「立っている、立っている…」とラベリングします。
- 向きを変えはじめる寸前にピタリと合わせて「向きを変えたい」とラベリングします。
そして、向きを変えていることに細かく細かく気づきつつ「向きを変えている、向きを変えている…」とラベリングしながら向きを変えていきます。
- 向きなおったら立っている足に気づき「立っている、立っている‥」とラベリングします。
- それから、また歩き出します。
方向転換は向きを変えるときだけでなく、方向転換のために止まる、足をそろえるなどの動作があり、それらを意図する心のラベリングもしてもよいです。
1の寸前に合わせて気づき「止まりたい」とラベリングをすること、5の寸前で気づき「歩きたい」とラベリングすることも良いです。
レベル4で目指すこと
まず、足を上げたい、進めたい、下ろしたい、向きを変えたいの4種類の意図する心が現れるはずのタイミングにピタリと気づいてラベリングすることが大事です。このことを重視してください。
そうすることで、気づきの力、瞬間瞬間に気づける瞬間定の力はどんどん高くなり、日常で心に現れる思考や感情に平静に気づける力もさらに高まってきます。
実際に意図する心に気づけるように
意図する心に気づけてはいないけれどその心が現れるはずのタイミングに意識的にピタリと合うようにラベリングする取組みを繰り返し繰り返ししていくと、実際に「〇〇したい、しよう」という意図する心の現れに気づけるようになってきます。
意図する心は瞬間の微細な心身の現象に気づく力が高くなると実際に気づけるようになります。
体が自動的に動く体験
ラベリングすると同時に足、体が自動的に動くことを体験するようになります。そうして意図する心があって動作は起きると体験で知るようになります。そして、マインドフルネスの知恵の悟り、智慧を得るようになってきます。
さらに細かな心に気づけるように
また、持ち上げたい・進めたい・下ろしたい、向きを変えたい以外の細かい細かい意図する心の現れにも気づくようになってきます。日常でも様々な心に気づけるようになってきます。
ひじょうに高いメタ認知力を持てるようになれます。