自分への思いやり:セルフコンパッション

― 自分をやさしく支える力を育てる

私たちは、他人には優しくできても自分には厳しすぎたり、小さな失敗で自分を責めすぎたり、「もっと頑張らなきゃ」と無理を重ねたり、無意識のうちに、自分を痛めつけてしまうことがよくあります。

しかし

本当に心を整え、成長していくためには、「自己批判」ではなく、「自己への思いやり(セルフコンパッション)」が欠かせません。

セルフコンパッションとは?

  • 自分の弱さや失敗を責めるのではなく
  • 人間であれば誰もが失敗するものだと理解し
  • 自分に対しても、友人にするように「やさしく接する」力

それが、セルフコンパッションです。

セルフコンパッションを育てる3つの要素

1.自分へのやさしさ(Self-kindness)

失敗したり、苦しいときに、「こんな自分はダメだ」と責めるのではなく──

「それでも大丈夫。苦しかったね」「今の自分を認めてあげよう」と、あたたかく接する態度。

2.共通の人間性の理解(Common Humanity)

苦しみや失敗は、「自分だけがおかしい」わけではありません。

「誰もが間違える」「苦しみは、人間である証だ」と理解することで、孤独感から解放されます。

3.マインドフルネス(Mindfulness)

自分の苦しみを評価せず、否定もせず、今ここの自分の心と体に、静かにありのままに気づく習性。

セルフコンパッションの声を育てよう

【ステップ1】最近「自分を責めた」できごとを思い出す
  • 小さなミス
  • 感情的になった
  • やろうと思ったことができなかった

どんなことでもOKです。

【ステップ2】そのときの「責める声」を書き出す

【例】

  • 「なんでこんな簡単なこともできないんだ」
  • 「こんな自分じゃだめだ」
【ステップ3】セルフコンパッションの声を書き換える

【例】

  • 「誰にだって失敗はあるよ」
  • 「今日ここまでやれた自分も十分えらい」
  • 「苦しいときほど、自分をいたわろう」

自分を叱るのではなく、励まし、受け止める言葉に書き換えてみましょう。

さらに深めるために:心の中の親(P)との対話

もし、あなたの中に

  • 「もっと頑張れ!」と強く責めるCP(批判的な親)がいるなら──

その声に、A(大人の心)で冷静に向き合い、やさしいNP(養育的な親)の声を育てることも意識しましょう。


  • 自分を責めるのではなく、やさしく受け止める「セルフコンパッション」が必要
  • やさしさ・共通の人間性・マインドフルネスの3要素を育てる
  • セルフコンパッションは、心を癒し、成長を支える最強の土台