―「気づき」を身につけるトレーニングをしましょう
ここまでのセッションで、繰り返し「気づく」ことが大切と学んできました。
関連して「マインドフルネス」についても知っておきましょう。セルフコンパッションの3つの要素の1つにも「マインドフルネス」がありましたね。
「マインドフルネス」とは?
私・森信人は、3歳の娘と二人暮らしになって、鬱病になって破産して、ドン底の暮らしを経験してから、人が変われて良くなれる方法を探究するようになりました。
それで、カウンセラーやコーチングのコーチなどになりました。ストレスの緩和のために仏教の瞑想が応用されたマインドフルネス瞑想にも、2004年から取組むようになりました。
そして、しだいに、もっと効果が広く高い本来の仏教のマインドフルネスの瞑想をできるようになりたい、と思うようになりました。

仏教の禅僧になって、坐禅を修行して、そのあと、さらに本来のマインドフルネス瞑想のヴィパッサナー瞑想を、本場のミャンマーに行って修行しました。
そして、帰国して、本来のマインドフルネス瞑想のWeb講座も始めました。
お釈迦様の遺言「マインドフルネス」
もともと「マインドフルネス」は、仏教の「正念(しょうねん)』のことがそう英訳されたのですが、正念はお釈迦様が亡くなるときに弟子たちに言った重要なことです。
お釈迦様は弟子たちに、「いつも正念=マインドフルネスでいられるようになりなさい」、「そうすれば、苦しみから解放されて、福楽に暮らせるようになる」と言われたのです。
さてどうして、「いつも正念=マインドフルネスでいられるようになる」とそうなれるのか?
マインドフルネスは「気づき」の力
マインドフルネスと英訳された正念は、「自分の心と体の瞬間瞬間に客観的に気づき自覚する」ことなのです。そういう気づきの力と習性のこと。
どのような気づき方をするかというと、「自分の心と体に現れた現象、反応や思考や感情、感覚、動きを、評価せず、静かにありのままに気づく気づき方」をします。
一般に人は、いつも自分の「外」に気づき暮らしていますが、徹底的に「自分」に気づきます。
本来のマインドフルネスの場合には、それが当たり前の習性になるやり方の瞑想に取組んで、それを習性になっている力にします。
気づきの力のマインドフルネスで得られること
3点あります。
1.反応、思考、感情、動きのままにならずに済む
それらが現れたときにすぐ「気づき」が入るので、それらが続くことに間ができるようになり、それがそれらにそのままにならずに済む自分にしてくれます。
2.あり方・言動を選ぶ機会ができる
どんな反応、思考、感情、動きが現れているか気づいているうえに、そのままにならずに済んで、違うあり方・言動を選ぶことが可能になります。
3.根っこの癒し、変化が起きる
本来のマインドフルネス瞑想の取組みの場合には、上記の1と2が普段、いつも普通にしていて当たり前な自分になります。
さらに「気づき」の力がとても素早く強くなって、脳の回路を変えることが強く起きるようになり、反応、思考。感情の現れ自体が変わってくるようになります。
本来のマインドフルネス、仏教ではこれを心の清浄とも言います。私の場合は、たとえば、怒りの感情自体がまったく現れない人になり、代わりに平静で慈愛が現れるようになりました。
本来の「マインドフルネス」は「心の主人」になる
こうして、本来のマインドフルネスは、「自分、自分の心=マインド」について、「いつでも=フルネスに」気づき、奴隷ではなく、主人でいるようになれるものです。
「マインドフルネス」の力・あり方を育てる方法
本来のマインドフルネス瞑想を学んで、取組んでみようという場合は、CHANGEのホームページでマインドフルネス瞑想の講座の紹介をご覧ください。→ 「こちら」
ここでは瞑想ではなく、「マインドフルネスなあり方を育てる」方法を学んでしてみましょう。
ただ「気づくだけ」のトレーニングをする
簡単です。日常生活の中でいつでもどこでも、すぐ簡単にできます。
ここまでの講義では、現れた自我状態に気づくという実践を練習してきましたが、「自分への気づきの力」を養うために次のようしてみましょう。

- 日常生活の中で「やってみよう」と思ってします。何をしているときでもかまいません。
- やってみようと思った時間の間、意識を自分に軽く向けていて、自分の体の一つ一つの動きや、思考や感情、感覚に、意識的に細かく気づき続けるようにします。
- 心の中で、気づきを言葉にしても良いです。
【 たとえば 】
家で何となく過ごしているとき「やってみよう」とはじめます。たとえば
- テレビを見ている → 見ていると気づく
- 水を飲みたいと思う → 思ったと気づく
- 目をずらした → ずらしたと気づく
- テーブルの上のコップを見た → 見たと気づく
- コップを持とうと思う → そう思ったと気づく
- 手を伸ばそうと思う → そう思ったと気づく
- 手を伸ばす → 伸ばした、伸ばしていると気づく
- コップを持った → 持ったと気づく
……と、続けます。
できるだけ細かく細かく気づくようにします。
どんなときでも、どんなことでもできますから、なるべくたくさんの機会にトレーニングしましょう。
1度の時間は短い時間でよいので、回数を多くするとよいです。
目 標
このワークを繰り返していって、日常で、ふと自然に、自分の動きや思考、感情などの現れを気づくようになっているとよいです。
それは始めはなんとなくかもしれませんが、それでも、意識を向ける方向は、自分の外へから自分へに、変わっていっています。

- 自分に気づくマインドフルネスが、自分を変える力、癒す力になる
- マインドフルネスなあり方で、自分の心の主人になれる
- 日常生活の中で、小さなトレーニングを繰り返して、マインドフルネスの力を養っていく